戻ってまいりました。14日午前10時前に家を出て、通りまで出たところで「あっ、いけね、サンダル忘れた」と取りに戻った。いつもジムに履いていくトレッキング・シューズだったのだが、これから向かう先は夏の街なのです。裸足にサンダル、短パンは必須。ところがそれが実は功を奏し、いちばん近いバス停は1時間に4本程度しか来ないので、普段はそこから10分くらい歩いた路線が集中するバス通りまで歩くのだが、着替えやエフェクター等入った思いカバンにギターケースを背負い、ヨタヨタとしていたら偶然そのすぐの通りにバスが来た。ああ、ラッキー、この夏はツイてる──そう思った、たった二日前の朝が遠い昔のように思える。これが旅の面白さかもしれない。
と、書いて──例えば、ですね。僕はその後バスで三鷹まで出ました。昨日書いてプリント・アウトしたコード譜を駅前でコンビニを探しコピー。やれやれと中央線に乗り込むとやたら大きな荷物を持った人が多い。「ああ、お盆んだなあ」と思っているとつり革を掴まる僕の正面に座るおばさまの膝にはケージに入ったチワワ君。「おやおや、君もお母さん(そのおばさまですね)と一緒に里帰りかなあ」などと言って撫でて遊んでいると、隣にいた阪神タイガースを帽子を被ったオジサン(推定60才)が突然大声で「やったあぁっ!」と叫ぶ。
んんん、何ンだ? と思っているとオジサンはイヤホンでラジオを聴いていたらしく、「いや、んと、アノ・・・スミマセン、つい興奮して。北島康介選手が200Mでも優勝しました」と恥ずかしそうに。そこで一気に見知らぬ物同士の車内が「おおーっ」と盛り上がりました──と書くと、けっこう昔の話みたいな気がしませんか? 写真は兵庫県篠山市、デカンショ祭会場。篠山城跡の石垣に貼られた巨大な垂れ幕。いつの時代も、夏の日はまるで遠い記憶の中にあるような気がする。そう、まるであの1979年のように。