少し気持ちが弱くなっているのか、死んだ相棒たちのことばかり想い出す。特に暑さが少しやわらぐ遅い午後、あの頃はぎじゅ太を抱いてソファーで昼寝をしたっけと考える。アイツは暑いから最初は嫌がるのだが、僕の胸にその小さな頭を押しつけてやると、心臓の音にほっとするのがすぐに小さな寝息を立てた。一方みャ太は賢いネコなので、家の中で誰よりも涼しい場所を知っていて、いちばんにそこで丸くなった。あんな幸せな時間はもう二度と自分にはやって来ないのかと思いつつ、いや、求めるために生き続けないと、俺にそのことを教えてくれた彼らに申し訳ない──そう一人呟いてはボンヤリとしている。部屋には誰もいない。でも今日も夕方になると涼しい風が通り抜けていく。最近は仕事もせずに、そんな気持ちを詩に書いてみたりする。夏は人を詩人にするのかもしれない。
※写真は以前ネコ達と暮らした部屋。1993年夏。data:ニコンFA、ニッコール24mmF2.0、Kodak・EL400を1600に増感。