6時起床。昨日書き残してしまった原稿を書く。みャ太はパネルヒーターの上にバスタオルを敷いて、そこでべったりと寝ている。「あー、あー、あー」と息を吐くたびに小さな音のような鳴き声のような音を立てる。鼻が詰まって苦しいのか、それとも哀しいのか。昨日の朝から何も食べようとしない。昨日の夜、獣医から戻ってすぐ新しく処方してもらった薬を飲ませた。それが効かないのか、もし効かなかったら? そう考えると絶望的な気分になる。
昼過ぎ、ヒーターから落ちるように床に降り、僕を見て「にゃー」と力無く鳴いたので膝の上に乗せた。本来雑種にしては大きなネコだ。前足のあたりの筋肉はすごい。でも昨日獣医の先生にも「軽くなっちゃたね」と言われたほど眼に見えて痩せた。そのまま撫でてやりながら1時間ほど原稿を書いていると、フト、思いついたというような感じで膝からおり、台所の床に置いてあるネコのゴハンのお皿へ向かった。
もしかしてと思い、あらかじめ買ってあった新品のドライフードの封を切って皿にあけてやった。元々ドライが好きだった。ネコは食べ物だけに関してだけ飽きっぽい。だから病気で食欲が落ちた時に気分を変える意味でしばらくカンヅメにしていたのだ。
みャ太はしばらく皿の乗ったドライフードを見つめていた。見ていてやると食べないのでiMacの前に座り原稿を書き始めた時、台所から「しゅるるーっ、しゅーっ」というトラやライオンなどが立てる唸り声のような音が聞こえてきた。鼻が詰まっているから食べようとするとそんな猛獣のような音が口から出るのだろう。それ交じって「ガリッ、ガリリッ」というドライを囓る力強い音がした。
アイツは今、生命を食ってる──、そう思った。弱った身体で自分の命のエサになる食料を、力ずくで奪い取っている。その音をずっと聴いていたい、そう思った。