6時半起床。やはり陽が長くなった。この時間でも太陽は東の空からしっかり顔を出している。しかし外は強烈に寒い。冷たい北風の吹く中110分走る。午後より外出。『Real Simple Japan』webサイトに連載中の
『わけもなく泣くなんて嘘』、心理カウンセラー・だいごなおみ先生とのトークセッションのため、西新宿の「カウンセリングルームFORGIVING」へ。いつものように2時間ほどお話を聴き、その後は近くにある山珍居という台湾料理屋さんで夕食。此処は、この日記を読んでくださっているHさんという方から「カウンセラーの先生の事務所近くに、SF作家や漫画家さん御用達の美味しいお店があるのをご存じですか?」と教えて頂いた。前回編集さんにそれを言うと、じゃあ今度は三人に行きましょうということになったワケです。Hさん、ありがとうございます!
店構えはごく普通の街の中華屋さんだが、天井が高く、あちこちに色紙が張り巡らされている。バカボンのパパが逆立ちしている赤塚先生のサインがひときわ眼を惹く。ダウンタウン松本人志のもあった。すると松っちゃんもキム兄や千原ジュニアと一緒に来たのかなあ、なんて思う。実にアッサリとした、麺の味だけで勝負したような焼ビーフン、骨付きの蒸し鶏、青菜炒めや三枚肉の煮込みなど、料理はどれも美味。青島ビールや老酒のお燗も頂く。明日がバレンタインというこで編集さんよりチョコレートも頂く。ワーイワーイ。女性からチョコを貰うなんていつ以来だろう、記憶に無い、ということは20代の頃からか、うんにゃ、その当時も貰ったという確かな記憶は無い。となると高校生の頃以来か。イヤハヤ。
帰りに下高井戸シネマに寄り、レイトショーで松江哲明監督の
『童貞。をプロデュース』を観る。これは確か2005年くらいから撮影は始まっていて、その様子は随時
松江くんのブログにアップされていたから、まさに「やっと観ることが出来た」という感じ。本人に頼んでDVD-Rにでも焼いて貰おうかなとも思っていたのだが、やはりスクリーンで観て良かった。地味で決して面白味の無い二人の若者の日常を淡々と追った、それだけの作品なのだが、見終わって電車に乗り、家に辿り着くうちにじわじわと「良かったなあ」と思わせてくれる映画だった。童貞──というタイトルのわりに、主人公達の求めているのはセックスではない。それよりもサブカルチャーであり表現であり、そして“つながり”であったりする。
それにしても全編、画面が異様なほどに暗く沈み込んでいるのは何故だろう? そういう撮影をわざとしているのかあるいはたまたまそういう天気だったのか。特に前半の主人公・加賀クンがカンパニー松尾と共にAVのスチール撮影に向かう車の中、そして後半・梅澤クンが車でブックオフ巡りをするシーン等々、まるで夢の中の光景のようだ。デヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』を「終わらない心地良い悪夢」と表現した人がいたけれどそれに近い。いや、もっと言えばハーモニー・コリンの
『ガンモ』だろうか? アメリカにも日本にも同様の忘れ去られた風景や若者達がいて、コリンにせよガス・ヴァン・サントにせよ松江哲明にせよ、それを観られる人のカメラが撮ると、世界はそのように心地良い悪夢を映し出す。
作中、AV女優との関わりを頑なに拒否する加賀クンに、カンパニー松尾がこう言うシーンがある。「人に関わるということは迷惑をかけるということなんだ。だから『人に迷惑をかけたくない』というお前のやってることは引き籠もるということで、それは実は他人に関わろうしない失礼な態度なんだよ」と。これは連載中だいご先生が何度か語った「人と人とが関わると傷つくのは当たり前のことなんです」ということに通じる気がした。ということで『わけもなく泣くなんて嘘』の
「悪口陰口というのは、言う側が自分のために言っている」が更新されています。よろしければ読んでみてください。また、松江哲明監督『童貞。をプロデュース』は、東京下高井戸シネマは今週土曜日16日まで、その後、長崎県・諫早、北海道・札幌、長野・松本etc,で上映予定だそうです。