6時半起床。今日も午後から取材なので朝いちばんにジムへ行き、10時半過ぎに戻りアタフタと遅い朝食をとってから外出する。起きてすぐにご飯を食べればそれほど慌てなくてもと思われるかもしれませんが、炭水化物を摂って2時間以降が最もアタマが活発に動くので、それに合わせてという計算なのですね。まあ、計算通りに頭脳が動いてくれたかどうかは別として(涙)。取材は3時過ぎに無事終了。最近は電車、特に地下鉄に乗っているとすぐに降りたくなってしまう。四谷でJRに乗り換える時に少し歩きたくなったので途中下車。そうだ、山王書房に寄ってみようと思った。
以前にも書いたことがある気がするけれど、大学を卒業し、初めてアルバイトで潜り込んだ出版社が麹町にあった。当時は小田急線新百合ヶ丘の実家に暮らしていたので、本来であれば有楽町線で行くのだが、初めての給料で買ったウォークマンで少しでも長く好きなロックンロールが聴きたかったので、新宿から四谷を超えて歩いて出勤した。その途中必ず寄るのが新宿通り、上智大学の先にある山王書房だった。広い売り場面積ではあったのだが、現在の出版事情、書店事情から考えると信じられないほど豊富な品揃えだった。新刊、文庫はもちろん、実用から学習参考書、学術、美術書に至るまでがあった。
ちょうどロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズが菊池光の新訳で、辰巳四郎によるあの特徴的な装幀によって発刊され始めた頃で、『レイチェル・ウォレスを捜せ』や『初秋』はこの本屋さんで買った。先に書いたように実用書も豊富だったから、「編集ハンドブック」というような手引き書や印刷やデザインに関する本も買えて、新米の編集者としてはありがたかった。また、此処はさらに店舗の片隅にはヌードグラビア誌のコーナーまであったから、荒木経惟氏が巻頭を撮る末井昭編集長の『写真時代』、あるいは『ビリー』と言った白夜書房から出ていたカルト的な雑誌に出会うことも出来た。
と、何故かすべて過去形で書いているのでもうお判りかと思うけれど、今日、山王書房を訪ねてみるとそこには無かった。ビルのワンフロア、正面がすべてガラス張りのショウウインドウで、広い扉が左右に二つあったその佇まいにはすべてシャッターが降りていた。たまたま今日が休みだったという雰囲気には思えなかった。閉店してしまったのだろうか? 現在の出版流通状況から言って、多くの書店が撤退を余儀なくされるのは一部にはいたしかたないことなのかもしれない。かく言う僕自身も、現在本や雑誌の80%程度はアマゾンドットコム等のネット通販で購入している。けれど、想い出深い好きな本屋さんが消えてしまったとすれば淋しい。まるてあの、新宿から麹町までを歩いた日々まで遠くに霞んでしまったかのようだ。