『日本ロック雑誌クロニクル』篠原章(太田出版)読了。発行人はバクシーシ山下の
『「ひとり暮らし」の女たち』なども手がけた落合美砂さんだが、赤田祐一氏時代の「クイックジャパン」からの流れを組んだいかにも太田出版らしい本だ。マニアにはタマラナイといいますか(笑)特に著者の篠原章さんは1956年生まれというから僕と二つ違い。同世代ならではの「ああ、わかるナア」という感じ。
若い人には想像も出来ないだろうが僕らが10代の頃、つまり七〇年代の半ばまではアメリカン・ロックを聴くヤツとブリティッシュ・ハードロックが好きな連中とはまっぷたつに棲み分けされていた。後者はラメのTシャツにどスリムな革パン、ロンドンブーツを履いて手にはジュラルミンのケースを持ち、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルを聴き、愛読書は「ロッキン・オン」で渋谷陽一信者。一方前者はワークブーツにダンガリーシャツ、中央線もしくは下北沢辺りを住処にして聴くのはボブ・ディラン、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング、はっぴいえんどなどなど。読むのは「宝島」と決まっていた。それが七〇年代後半、パンクの登場で一気に混沌とした。
東京在住の人間にとってはずっと謎だった「ロック・マガジン」とその発行人である阿木譲という人についてもやっとこの本で少し判った。僕は確か19才の頃、下北沢の「独」という名のロック酒場で偶然隣り合わせになった、当時ガセネタというバンドをやっていた山崎春美という男にその雑誌のことを教えてもらった。
それにしても「映画が斜陽になると映画本が売れる」というが、もうすぐ坪内祐三さんによる
『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』というクロニクル本も出るらしい。雑誌の時代の終焉、とは言わないが大きなパラダイム・チェンジは来ていると思う。