夜中にネコが何度も苦しそうに咳をして、そのたびに眼が覚める。単に風邪をひいて鼻を詰まらせていたのではなく、気管支に(下手をすると肺にまで)ある程度深刻な炎症を起こしていると獣医に聞いたせいかよけいに苦しげに聞こえて仕方ない。
時々、モノの見方、という事について考える。同じものを見ていてもその時々、見る者の姿勢によってまったく違って見える。おそらく彼は、最低でもココ一週間ほどは毎晩同じように苦しげに咳をしていたのだ。単に僕がそれに気づかなかったに過ぎない。たいしたことのない、軽い風邪の症状に見えていた。いや、たぶん心の奥の方でその深刻さに気づくのが恐かったのだ。だからしっかりと見ようとしなかった。そういうことだ。
自分の体調が悪かった、気分が暗かった。そこに持ってきてネコが深刻な病気だとは考えたくなかったのだ。些細なことだが欺瞞は恐ろしい。自分の弱さをかばおうとすると冷静なモノの見方が出来なくなる。結果、自分より弱い者を傷つける。自分が弱者だと思っているヤツは最低だ。