朝から延々と仕事。原稿を書き、ビデオを観て、レイアウトをして、また原稿を書いてビデオを観る。まだまだ終わらない。現在、日付が変わり28日の午前2時過ぎ。すべてから解放されるのはたぶん29日の夕方近くになるだろう。昨夜遅く、何気なく友人のギタリストがmixiにアップした日記を見ると、とあるミュージャンと今月の末に共演すると書いてあった。仮に名を、R氏としておく。もう20年近く会っていないけれど、かつて僕がAVを撮っていた頃に音楽をつけて貰っていた人だった。出会いのきっかけは、僕はその頃もAVを撮りながらマイナーな雑誌に文章を書いていたのだけれど、それを読んで「面白いヤツがいる」と訪ねて来てくれたのだ。会って話をしているうちに、その人は僕が中学生の頃よく聴いていたとあるデュオ・グループの片割れだと判った。「Rさんですか?」「そうだよ、知ってたの?」「だってファンだったもの」ということで意気投合し、当時お互いに神宮前・千駄ヶ谷界隈と近くに住んでいたこともあり、よく会うようになり仕事もお願いするようになった。
僕はそれから二度引っ越しをしたし、R氏も鎌倉の方へ移ったと人づてに聞いていた。当然移転先の電話番号など知るよしもない。下手をするともう一生会うチャンスは無かっただろう。インターネットならではの再会の仕方だ。まあ、まだ実際には会っていないのだけれど。そう言えば以前こんなこともあった。やはり友人のシンガーソングライターのブログを見ていたら、「カメラマンK氏の写真展に出かける」という記述があった。Kさんは、その約一年前にとある雑誌でコンビを組んだ写真家だった。数回御一緒し、さほど話はしなかったものの、取材終わりで編集者を交えお茶を飲んだりしていると、同世代だし音楽の趣味も似ていて、あっ、この人とは気が合いそうだなという感じがした。しかし三回連載が続いたところで、編集の人からバッタリと連絡が来なくなってしまった。年末年始を挟んでいたので、そういう事情なのかなと思っていた。
しかし年が明けたある日、偶然立ち寄った本屋でその雑誌を見つけページを開いてみると、その連載はK氏が写真担当のまま、別のライターで続いていた。自分が切られたのだと、そこで初めて気づいた。こういうのは、正直気まずい。ビジネスとしたら、こちらから編集の人に連絡をして「どういうことですか?」と訊ねるのが筋かもしれない。でも、理由は何であれ、先方は僕ではなく別の人に書かせるということをもう決めて進めているのだ。電話なとしたら向こうもしんどいだろう。だからそのままにしておいた。K氏とも、もう二度と会う機会などないだろうと思っていた。昔、ダイナ・ワシントンが唄い、後にダイアナ・ロスがカヴァーした「縁は異なもの〜What A Diff'rence A Day Makes.」という曲があった。そう言えばR氏もK氏もソウル・ミュージックが好きだったなと思い出した。