5時起床。124分走る。昼間は昨日に引き続き、領収書の整理などして。夕方より下北沢、
ラ・カーニャへ。旧友の歌い手・
阪本正義と
東京バンドのジョイント・ライヴに出かける。ラ・カーニャは吉祥寺のMANDALAや、渋谷のBYGと同様70年代の匂いのするライヴハウス=ロック・バー。東京なら風都市系、関西で言えば春一番コンサートのスピリットが継承されている──、と言えば判る人には判って貰えるだろうか? 店内の壁そこかしこには沢田としきさんによる、ノスタルジックでニューオリンズからカリブの旋風まで感じられる素晴らしいイラストレーションが飾ってある。いつ行ってもわくわくしつつホッと出来る空間である。
阪本くんのライブはもう数限りなく観ていて、阪本や以前この日記で書いた
徳田建さんのサポートをするラップスティール奏者
まじさんの姿も何度か拝見していたのだが、彼がメンバーである東京バンドのステージは初めて。ラップやワイゼンボーン、マンドリンにフィドル、アコースティックギターを持ち替える三人組の演奏は、その編成からも窺い知れるように、カントリーがロックンロールに進化していくその端境期のような味わいがあって、僕はすぐにファンになってしまった。
元々は今は去ること19年前、大森の小さなライブハウスでそれぞれソロで唄っていた三人がある日再会し、「ちょいと一緒にやってみようじゃないか」と始めてちょうど10年とのこと。唄にはザ・バンドの影響があったり歌詞にはブルーカラー=ワーキングクラス的な味わいもあったり、バンド名の通り江戸っ子な雰囲気もある。MCも楽しい。何というか、ブルース・スプリングスティーンが日本酒とヤキトリでホロ酔い加減になって唄うカントリー・ブルーズ・ロックンロールと言った感じ(何ンか変な表現ですが)。
11時半過ぎにラ・カーニャを出て、駅へと向かう。それにしても下北沢は何年振りだろう。歩きながらつくづく思ったのだけれど、呆れるほど変わっていないのに驚く。小さな飲み屋や古着屋や中古盤屋がひしめくようにあり、お金は無いけれど面白いことを探すのが得意な若い連中が溢れかえっている。特に小田急線の駅は此処数年高架化に伴う建て替えが続いているのだけれど、下北だけは恐ろしいほことに30年前とまったく同じだ。でも良く見ると幾つか案内ポスターが貼ってあって、実は地下に新しいホームが出来つつあるようだ。この街は10代の終わり、初めて出来た恋人と暮らした場所。後数年したらそんな思い出もきれいさっぱりと、消しゴムをかけたように消え去ってしまうのだろうか。