仕事に疲れると珈琲を煎れる。そのとき音楽を流すこともあれば、テレビを点けて音声だけ聴くこともある。今週は各局のニュース、ワイドショーはフジテレビの話題で持ちきりだった。同局の労働組合員が元は80人しかいなかったのが、今回の事態で500人以上に増えた、これは先週から報道されていた。ただ、さらに昨日か一昨日、そもそもその労組を作ったのが、これらの一件で頻繁に名前の出るフジサンケイグループ代表兼フジ取締役相談役、日枝久氏だったということを初めて知った。そこで「ああ、そう言えば」と思い出したことがあった。僕は2014年から翌15年にかけて、某週刊誌で山本晋也さんの自伝の聞き書きをやらせてもらった。そのときに聞いた話だ。カントクはフジテレビの『森田一義アワー 笑っていいとも!』に、1983年から1987年まで水曜レギュラーとして出演していた。起用したのは名プロデューサーと呼ばれた横澤彪さんである。連載は2016年に
『カントク記 焼とりと映画と寿司屋の二階の青春』(双葉社)という本にまとまっている。その部分を以下、少し長くなるけど引用してみたい。
そんなオレが日本を代表するお昼の番組『笑っていいとも!』に出るようになるのは1983年のこと。『トゥナイト』の風俗レポートが最高潮に盛り上がっていた頃だ。
これには稀代の名プロデューサー、横澤彪という人の存在が欠かせない。
説明は無用だろう。『THE MANZA!』で保守的な芸能になっていた漫才に新しい光を当て、『オレたちひょうきん族』では新しいバラエティの形を作り、『森田一義アワー 笑っていいとも!』が32年間日本人の昼をなごませ続けた、その礎を作った男。
もちろんオレが起用されたのには赤塚不二夫先生を通じたタモリさんとの繋がりがあり、盟友・高平哲郎が初代放送作家の一員だったことによる。でも、横澤さんという自由な魂の持ち主がいなければ、深夜に変態チックな風俗レポートをやってる元ピンク映画監督が、昼どきのお茶の間に映し出されるなんてことはなかったはずだ。
そもそも『笑っていいとも!』は深夜の密室芸人と呼ばれたタモリを昼の顔にしたという大逆転の発想であり、それに続いて「ほとんどビョーキ」の山本晋也を引っ張り出し、さらにはたこ八郎までを茶の間のスターにした。
横澤さんは徹底的なアンチサラリーマンだった。会社が大きくなることとか、ましてや自分の出世なんて一切考えない人だ。彼が考えるのは、どうしたら番組が、テレビが面白くなるか? そして観ている人が笑って幸せになれるか、だった。
まだフジテレビが河田町にあった頃、何の話の流れからだったか横澤さんが、
「カントク、ぼくね、会社から給料もらってないんだよ」と言ったことがあった。
驚いて、
「えっ、じゃあどこからもらってるんですか?」と訊くと、あの穏和な笑顔で、
「ウフフ、組合。労働組合からもらってるんだよね」と言った。
どこまで本当なのか、横澤さんなりのシャレだったのかはわからない。
ただ1960年代、横澤さんが労働組合運動に入れあげ、当時の社長で伝説の経営者・鹿内信隆氏の逆鱗に触れ、産経新聞出版局に左遷させられたのは有名な話だ。
一般の視聴者の多くは、横澤さんはフジテレビの社長になると思っていたのではないか。けれど彼は定年を待たずに退社して吉本興業に移籍。終生笑いに携わり続けた。
この本の最初の方で書いたけれど、オレがピンク映画の世界に入ったのは、日芸(日本大学芸術学部)時代にバイトで入ったテレビ局が、あまりにサラリーマン的で嫌気が差したからだ。
あのときもしも横澤さんのような人に会っていたら、オレの人生は大きく変わっていただろう。そして、巡り巡って彼の元で仕事をさせてもらうことになったのは、まったくもって幸せなことだったと思う。
※横澤彪さんと日枝久氏、フジテレビの入社は1962年・1961年と日枝氏の方が1年早いようだが、生年はともに1937年(昭和12年)の同い年である。写真は今朝のウォーキング中に撮影。時刻は7時05分。近所の公園に立つ、警報やお知らせ用サイレンの塔。data:iPhone15Pro ×1 #Instagram #MOLDIV #ORIGINAL
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