11月9日の日記に書いたようなことは実はもうひとつあって、1989年の夏はハリウッドからグレイハウンドに乗ってニューヨークへ行ったわけだけれど、早朝に着いて初めて泊まったのが「タイムズ・スクエア・ホテル」というところだった。そして実はココ、ザ・バンドがロニー・ホーキンスの元を離れ「リヴォン&ザ・ホークス」と名乗り、初めてニューヨークへ行ったときに泊まったホテルなのだ。映画『ラスト・ワルツ』の中でマーティン・スコセッシのインタビューに答え、ロビー・ロバートスンは「僕らが泊まったのは42番街のタイムズ・スクエア・ホテルだった。ホテルの名前もそれ以外のものも、何もかもがマンハッタンの中心にいるんだという気にさせてくれた」と語っているのだ。しかもはっぴいえんどの場合は最近になって知ったからまあ仕方ないのだけれど、『ラスト・ワルツ』は1978年の作品だ。ロードショーでは観ていないものの、名画座では何度も観た。1985年にはレーザーディスクを買い、旅に出る前にそれこそ擦り切れるほど観ているのだ。それでもまったく気づかないまま泊まっていたのが何とも情けない。ところでYouTubeに上がっている同場面「levon helm and robbie robertson on NYC」で、リヴォン・ヘルムはこう語っている。
<一度じゃだめだ。恋するまでには、二度、三度と足を運ばなきゃ。必ず好きになる。ニューヨークは大人の街って感じだった。最初は「おととい来やがれ!」って感じだったけど、最後は恋に落ちてしまう>と。僕はニューヨークをその一度きりしか訪れたことがない。現在の我が経済状況に加え、この円安と現地の物価高を考えるともう無理だろうか? 英会話ラジオを聴けば聴くほど、かの地への思いが募る。ところで日本盤DVDの字幕で「おととい来やがれ!」と訳されているのを、僕のつたないヒアリングではリヴォンは「Get your ass kicked and take off!」と言ってるように聞こえる。英文法的にいうと「get+目的語(人以外)+過去分詞」だと思う。直訳すると「ケツでも蹴飛られて消え失せろ!」という感じだろうか。そんな言葉を決して憤慨することなくクールに回想してみせる、リヴォン・ヘルムって本当にそういうイカした男なんだなあ。