昨日の続き。ドン・マクリーン、1972年のヒット曲
「アメリカン・パイ」について、実は書きたいと思いつつ書きそびれていたことがあった。7月20日の日記で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のワンシーンについて書いた。
「ルーのカフェ(Lou's cafe)」にて、マーティに「That's right! He's gonna be Mayor!(そうだ、市長になるぞ!)」に言われた下働きの黒人青年ゴールディは満足気にこう語ってみせる。「Year,.I'm gonna be...Mayor.That's good idea.I could run for .Mayor.(そうか、市長になる、か。いいアイデアだ。オレは市長に立候補するぞ)」。これに対する店主・ルーの発言が以下。
LOU:A colored Mayor,That'll be the day.
「That'll be the day.」は英会話番組を聴いていると必ず登場するフレーズだ。直訳すると「もしそれが現実になったら、それは特別な日になる」。これは日本語で言う反語、「そんなことがあり得ようか(あるはずがない)」だ。つまりルーは「黒人の市長? そんなことあり得ない」と言っているわけだ。これに関してFacebookで「友達」になってもらっているMikaさんからこんなコメントをもらった。彼女は家庭教師として受験生に英語を教えている人で、だからもちろん英会話及び英文法にはとても堪能だ。
<そうそう、反語なんですよね。ドン・マクリーンの「American Pie」という曲、私は
Madonnaがカバーしたバージョンしか知らないのですが、歌詞の中に「This will be that I die」とあります。これはまさしく反語で「死んでたまるか」なんです。それなのに「対訳」と称した訳を載せているサイトは、ほとんどが「今日は僕(私)が死ぬ日」となってるんです。ちょっと調べればわかるのに。>
ということで「アメリカン・パイ」に「That'll be the day」というフレーズが登場するのは、あの印象的なサビの部分。歌詞は以下。ちなみにこの曲は8分36秒と長く、サビも7回出てくる。
So bye, bye, Miss American Pie
Drove my Chevy to the levee but the levee was dry
And them good ole boys were drinking whiskey 'n rye
Singin' this'll be the day that I die
This'll be the day that I die
だから、バイ、バイ、ミス・アメリカン・パイ
シボレーを転がして堤防に行ってみたけどそこは閑散としてて
気のいいオールド・ボーイたちがライ麦ウイスキー飲みながら
唄ってたよ、死んでたまるかって
俺が死ぬはずなんてあるもんかってね
Mikaさんがおっしゃるように「That'll be the day」はもう決まり文句だから、「今日は僕(私)が死ぬ日」としてしまうのはやはりちょっと違うと思う。では訳した人はなぜそうしてしまったのか? これを語り始めると長くなるのでまた明日に続きます。というのもドン・マクリーンはどういう意図をもって「アメリカン・パイ」の中で「That'll be the day」と歌詞に書き、昨日の日記に書いたように「The day the music died」と唄ったのか。これは1950年代後半から60年代にかけて、この時代のアメリカの若者とロックンロールを巡る、重要なテーマだと僕は思うんですね(続く)。
※盛夏。百日紅(サルスベリ)の花が満開ですが、写真は公園にて。ジョギング中に撮影。data:iPhone12Pro 1 × #Instagram #MOLDIV #ORIGINAL