6時起床。午前中に原稿を一本書き上げ、10時半より歯医者。午後は取材に出かけた。空間装飾やフードスタイリング、グランピングのディレクションなどを手がける女性に会った。北海道への出張から戻ったばかりと聞いていたので、「どんなお仕事だったんですか?」と尋ねた。するとゴルフ場が敷地内にグランピング施設を作るので、そのデザインを担当するとのこと。これだけでも優雅な話なのだが、聞けばリゾートではなく、お客はそこで仕事をするのだという。つまりはよく言われる「ワーケーション」、猛暑の夏には東京を脱出して、涼しい北海道からリモートワークをするわけだ。このコロナ禍で唯一よかったことはと言えば、テレワークによって東京の一極集中が解消されることだという人がいる。少し前に人材派遣会社の「パソナ」が本社を淡路島に移転するというニュースもあった。
ただしそういう優雅な仕事ぶりが可能なのは、やはり大企業やお金に余裕のある人だけではないか。一歩間違えば格差が拡大し、東京や近郊がスラム化する可能性はないのだろうか? 村上龍の小説『半島を出よ』の冒頭に出て来る、ホームレスが緑地公園に暮らすあの近未来である。新政権が発足する前からスガさんは「ワーケーション」を推奨していた。でも僕が思うにまずは格差を是正して、中流階級層を出来るだけ増やした方が当然税収はアップする。消費は喚起され経済は元気になる。まさか未だ富裕層が経済をリードすれば全体が潤うという、トリクルダウン幻想を持ち続けているのでもあるまい。富める企業の正社員だけが快適なリゾート地に移り住み、まるで遠隔操作するように人材を派遣する。そして派遣される者は低賃金で保障すらなく、都会のスラムでゴキブリのよう働かされるとしたら、それは悪夢以外の何物でもない。
※写真は今日の午後。JR総武線市ケ谷駅付近。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #KINFORK