6時起床。今日はジムもジョギングも自粛して、朝から原稿書き。正午過ぎまで集中して進め、HDD録画しておいた『羽鳥慎一モーニングショー』の音声のみを聴きながらお昼ご飯の用意をした。最近ツイッターなどで「ワイドショーしか観ない大衆が」という書き方をよく見かける。でもね、最近のワイドショー、とてもよく出来てるんです。もちろん原田龍二の「4WD諸国漫遊不倫」とかしょうもない話題もあることは、ある。ただし特にこの『モーニングショー』、羽鳥さんのパネルコーナーと玉川徹さんの「そもそも総研」は勉強になる。今日は登戸の20人殺傷事件と元農水事務次官の長男殺害事件に関連づけ、ひきこもりや社会不適合という問題を絡め、いわゆる「死ぬなら一人で論争」について解説していた。実に腑に落ちたのでメモ代わりに記しておくことにする。
中村カズノリさんというカウンセラーの方が出演していて、この人はかつて精神的に追い詰められ、自分自身が「通り魔」一歩手前までいってしまったというかなりヘヴィな経験を持つ。元々はシステムエンジニアだったが、極度の激務とストレス、繰り返す徹夜作業から自律神経が崩壊したのだろう、「過眠症」という睡眠障害を患う。長いときには気がつくと24時間こんこんと眠り続けているという病気だという。検査入院をして服薬をするも改善せず、当然仕事は出来ないし定時に出社することすらままならない。会社には病気とは理解されず、上司からは「体調管理をちゃんとやれ!」と叱咤されて給料は10万円まで減らされ、最終的には自主退職を強いられる。その際、人事の人間がヘラヘラ笑いながら「思い詰めて自殺なんてしないでね」と言ったのを受け、思わず「自分が死ぬくらいならお前らを殺すよ」と答えてしまったそうだ。
中村さんは「正論や常識が、追い詰められた者をさらに苦しめる」と言う。ひきこもりの人間に「なに引き籠もってんだよ、働けよ」「親に食わせてもらってるんだろう、甘えんなよ」と言うのは確かに正論だ。常識でもある。だからひきこもりの本人も、それは痛いほどわかっているはずだ。登戸の事件の容疑者が「ひきこもりとはなんだ!」と激怒して否定したのは、自分でわかっているからこそ受け入れたくなかったのだろう。それは鬱やアルコール依存症でも同じだ。「鬱なんて心が弱い人間がなる病気だ。強くなれよ」「アル中? 意志が弱いだけじゃねえか、甘えんな」、両方とも病理学的には間違っているのだろうが、世間的には常識であり正論だ。だから鬱病患者もアルコール依存症も、それは嫌というほど身に沁みている。わざわざ他人から言われるまでもなく、誰だって明るく楽しく暮らしたいし、酒は楽しくほどほどに飲みたいのだ。しかしそれが出来ないから病気なのだ。過眠症の人が一般の人がごく普通に難なくこなせる、朝起きて会社に行くという行為が出来ないのと同じだ。ならば「死にたければ一人で死ねよ」も、やはり常識であり正論になる。
今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』では、コメンテーターの山口真由さんが言葉に詰まって涙ぐむ場面があった。彼女は定時に会社に行くという生活を辞めたとき、自分が真っ当な社会から切り離されたと感じて、「どうして私は普通の人と同じように行動出来ないのだろう」と自分で自分を追い詰めたという。その苦しい記憶が甦ったみたいだった。この黒髪の美女は東大法学部を「総長賞」を受けて主席で卒業し、財務官僚になった後にハーバード大学法科大学院に入り、ニューヨーク州弁護士の資格を取った超秀才である。こんなに頭のいい人でも、社会から「切り離された」と感じると不安に苛まれるのだ。人は一人では生きられない。ならば一人で死ぬ必要はないし、ましてや人を殺す意味なんてどこにもない。
※写真は5月17日。公園のヒナゲシ畑と、夏のような入道雲。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVID