今日、お昼を食べながらHDD録画しておいた『松本・設楽・小池VSクレイジージャーニー』を観ていた。
田中正人さん率いる「Team EAST WIND」のアドベンチャーレース第2弾だ。アドベンチャーレースとはトレッキング、トレイルラン、マウンテンバイク、カヤック、ラフティングなどの複合競技で、全行程500キロとかを100時間くらいかけて走破する、まさにクレイジーな超過酷レースである。4人一組のチームで挑戦するワケだが、途中、若い米元さんというメンバーが、過労と睡眠不足のため幻覚・幻聴にさいなまれるというシーンがあった。するとリーダーの田中さんは「幻覚・幻聴なんてものはこのレースでは日常茶飯事なんだから、ヒマ潰しに楽しめばいいよ」と言い放つのだ。そこで思った。そうか、人間というのは睡眠不足と過度な疲労が重なるとそうなるのか。そうなって当たり前なのか。実は僕も、幻覚はないが幻聴はよく経験した。特に若い頃はまさに日常茶飯事だった。仕事でしばしば無理な徹夜を続けることがあったからだ。
最も強烈な想い出がある。あれは23才のとき、アダルト誌を作る編集プロダクションにいた。出版に関わる人の中では常識だろうが、編プロいうのはどこもとにかく忙しい。今で言うブラック企業である。入ってすぐ、一人で増刊号を1冊早急に作るという仕事があった。確か丸3日、72時間ブッ通しでレイアウト(誌面のデザイン)をし、原稿を書いてデッチ上げたことがあった。今頃の季節だった。夜明けとともに作業が終わり、でもまだ始発が動いてなかったので編集部の床に仰向けになった。当然疲労困憊はしていたが、集中して仕事をしていたため、アドレナリンが出まくっていたのだろう、眠気は少しも感じなかった。すると、幻聴が始まったのだ。耳元でジェームス・テイラーの曲が鮮やかに流れ始めた。「スウィート・ベイビー・ジェイムス」「ファイアー・アンド・レイン」「君の友だち」etc、しかも心の中で「次はあの曲が聴きたいな」と思うと、その曲が再生されるのだ。まるで脳内ジュークボックスである。
美しい音だった。もう時効だろうから書いてしまうけれど、20代の頃、何度かマリファナを吸ったことがあった。マリファナでトリップすると音楽が綺麗に聞こえるという。確かにそうではあるが、あのときの幻聴と比べたら足元にも及ばない。あれほど美しい音楽は聴いたことがないし、この先経験することもないだろう。不思議なのは、歌詞までがはっきり再生されたということだ。僕は英語のヒアリングなんて当時も今も出来ないし、ジェームス・テイラーの歌詞を暗記していたわけでもない。つまり脳が「聞こえている」と錯覚する、それがまさに幻聴ということなのだろうけど、人間のメカニズムというのは面白い。
※もう徹夜で仕事をする体力はないが、相変わらず追い込まれていて走れる日が来ないので、写真はまたまた引き続き8月2日の朝。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVID