今日は夕方から出かけるので、ジョギングは自粛して朝から原稿を書いた。寒さでしんとした部屋に、Apple Musicで
デヴィッド・ブルーの『ストーリーズ(Stories)』を流す。ずっと昔から聴きたかったのだが、機会がなかった。10代の頃のお小遣いでは他のアーティストのレコードを買うので精一杯だったし、アルバムを持っている友だちもいなかった。ロック喫茶などでもかからなかったような記憶がある。1941年生まれ、ボブ・ディランの「ローリング・サンダー・レヴュー」にも参加している。というのはフィル・オクスやボビー・ニューワースと共に、ブルーも1960年代のグリニッジ・ヴィレッジで活躍したフォーク・シンガーだったからだ。ただそういう経歴より何よりも、このアルバム・ジャケットである。これだけで「絶対にいい曲ばかりなんだろうなあ」と思わされた。
ハンサムなユダヤ系アメリカ人で、俳優としても活躍した。僕は調べるまで気づかなかったのだが、デニス・ホッパーがトム・リプリーを演じた『アメリカの友人』にも、小さな役で出ているそうだ。ロックマニアでもあるヴィム・ヴェンダースらしいキャスティングだと思う。サム・シェパードによる
『ローリング・サンダー航海日誌〜ディランが街にやってきた』(河出文庫)には、フィル・オクスが泥酔してボブ・ディランに絡む横で、ブルーが<動物用精神安定剤を無差別に配って歩いている>と描写される場面がある。
デヴィッド・ブルーは1982年に亡くなったが、ドラッグやフィル・オクスのような悲しい死に方ではなく、マンハッタンのグリニッジ・ヴィレッジにある「ワシントン・スクエア公園」で、ジョギング中に心臓発作を起こしたそうだ。41才の若さだった。
※写真はApple Musicのサムネイル画面。
ミュージック・マガジン増刊『シンガー・ソングライター』にある中川五郎さんの解説によると、この印象的なモジリアーニ風の肖像画を描いたのはアンソニー・ハドソンという人物で、なんとガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト、スラッシュのお父さんなんだそうだ。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #JOKER