台風は去ったようだけど風がやたら強い。そしてこれを書いている本人(僕ですが)も、体調気力ともにかなりヤバイ。追いつめられている感じが強い。何なのだろうこれは。昨夜は毎月一度高田馬場のコアマガジンへDVDの画面撮りに行った。何度も書いてる気がするけどDVDはコピーガードが付いているので我が家のiMacG4では取り込むことが出来ないのだ。
コアマガジンの『ビデオメイトDX』という雑誌でAV監督の作品研究のようなページを書いていて、今年から代々木忠監督の作品を毎月一本取り上げている。今回でもう9回目になる。先月もそうだったが、原稿を書くためもあって行き帰りの電車の中で代々木さんの著書『プラトニック・アニマル』と『オープン・ハート』読んでいる。そして昨夜は不意に涙が出そうになって困った。『オープン・ハート』の小沢なつみのパートだ。
幼い頃から義父と叔父、その叔父の友人と関係を持っていた彼女は中学生になると万引きや恐喝を繰り返しついには教護院に入れられる。しかし夜になると塀の外から派手なクラクションが聞こえる。暴走族の恋人が毎夜「お前に逢いに来たよ」と合図を送っているのだ。小沢なつみは初めて「自分は愛されているのだ」と強く思う、その場面である。それにしてもイイ歳した男が東西線の中で泣いてちゃマズイよな(涙)
この二冊はもう何度も読み返している。『プラトニック・アニマル』の奥付を見ると初版が1991年、僕の持っているのは12刷で1993年の発行だ。この本もまた読むたび心に響くところが違う。実を言うとかなりとらえ所の無い本だとも言える。ひとつには代々木忠という人が、非常に哲学的に人間の心理を追求する人でありながら反面、絶対に下世話なスケベ心を忘れないからだ。そしてサービス精神もある。「自分を愛せない人間に人を愛することは出来ない」なんて書いてある隣にはヤップ島で野生の暮らしを経験してオスの匂いを身に付けた後、「私はグアムで声をかけてきた女の子と二日間で六人とセックスした」なんて書いてある。こういうのは困る──、イヤ別に困ることはないんだが。
大切なのは代々木監督が「人間とはそういうとらえ所のない存在なのだ」と言っているところだ。人間はひとつ賢くなったと思った次の瞬間には大切なことを忘れている。これが真実の愛だと確信した瞬間相手を疑ったりする。掴んだと思った瞬間、手のひらからそれは消えている。それが恋愛であったりセックスであったり男と女であったりする。つまりは人間という存在のやっかいところだ。
代々木忠の著書は多数あるが、まずは
『プラトニック・アニマル』と
『オープン・ハート』がおすすめ。両方とも幻冬舎から文庫化されているから手に入れやすい。『オープン・ハート』は絶版のようだがアマゾンのマーケット・プレイスを見ると安い出物がかなりあるし、情報センター出版局刊の単行本もある。身も心も追いつめられたと実感する時に読みたい本です。