起きると雨が降っている。午前中ジムに行くつもりだったが自粛して朝から原稿を書く。というのも昨夜突然友人から電話があり、石垣島に移住している昔のバンド仲間が上京していると知らされる。今夜しか時間が取れないらしいのだけど出て来れるかと言うので、原稿に押されとても出かける余裕なんてないのだが向かうことにした。神戸の友人がやってきた時にも書いたけれど、この七〇年代の終わりに音楽を通じて知り合った仲間は本当に数少ない僕の友達だ。
その友人Fは二十代の後半からバンドマンで食い詰めて、映画のドライバーの仕事をしていた。業界用語で言うと“車両部”というヤツだ。91年に公開された作家・椎名誠さんの監督作『うみ・そら・さんごのいいつたえ』のロケで石垣島を訪れ、ここが自分の生きる場所だと直感した。そして都下にあった実家を引き払い、嫁と娘、お母さんを連れて移住してしまった。もう14年になるという。
昨日書いたように、今日は僕のアパートのすぐ隣にある公園の広大な敷地でハナレグミ・フリー・コンサート。台風の影響だろうか雨はどんどん強くなる。ファンの人は気の毒だなあと思っていたが、窓から眺めると皆傘を差したりビニールのカッパを着たりしてそれなりに楽しそうだ。そうか、『ウッドストック』や初期のフジロックもそうだったけれど、雨もまた野外コンサートの醍醐味でもあるんだな。
このフリー・コンサートを企画制作したのはファイブ・ディーという音楽事務所。ザ・ブーム他数多くのアーティストが所属している。ココの社長──という呼び名がとても似合わない常に飄々としたカッコイイ人なのだが──は、僕が八〇年代の終わり、ミュージシャンの写真やプロモーションビデオを撮っていた時並々ならぬお世話になった人だ。原稿が終わっていれば缶ビール片手に観に行くつもりだった。だけど昨夜で予定がずれ込んだため、取り敢えず挨拶だけしに行こうと演奏が終わった頃を見計らってマウンテンバイクで行ってみる。ところが予想外にすごい人数の観客達が帰り始めていて──昨日の日記にトラックバックしてくださった方(ありがとうございます)によれば二万人以上だったとか──とてもスタッフのいる場所にたどり着けそうもない。そうこうしているうちに小降りだった雨が激しくなってきたのであきらめ部屋に戻った。
最近つくづく思うのだが、日々の暮らしに追われていると本当に会いたい人にはなかなか会うことが出来ない。