6時起床。例によってまずは朝風呂に入り、お湯に浸かりながらiPad miniで読書。いつもは仕事の資料本やテープ起こし原稿をePub(電子書籍のフォーマット)化したものなどを読んでいるのだが、お正月くらい好きなものにしようと、年末に川三番地・著
『あしたのジョーに憧れて』(講談社・Kindle版)を買っておいた。これは若き日の川三番地青年(作中は本名の「田中くん」)がアシスタントとしてちばてつや先生の千葉プロダクションに入社、修業に励む奮闘記マンガである。
昨年12月の後半、バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』で「現実との時間経過の乖離が最も激しい漫画『アカギ』説」というのをやっていた。福本伸行・作「アカギ」はひと晩の勝負になんと連載19年間もが費やされている麻雀劇画。これは当然、物語内の時間の進みが最も遅いだろう説だったが、実際「アカギ」は予想に反して10位で、第1位に輝いたのは川三番地先生による野球マンガ『Dreams』だった。
そこで、「あれ、川三番地(かわ・さんばんち)って、昔(かわ・みつばち)って読みじゃなかってけ?」とWikipediaを引いた。そこでやはり<初期のペンネームは「川三番地」(かわ みつばち)。>という表記と共に、ちばてつや門下生だったこと、『Dreams』の原作者がちばてつや先生の弟(四男)・七三太朗先生であること(ちなみに三男が早世した名マンガ家・ちばあきお、次男は千葉プロダクション社長の千葉研作氏)、そしてこのアシスタント時代を回想する自伝マンガを存在を知ったのである。
立川談春師匠の『赤めだか』がそうであるように、この手の修業時代エピソードが面白くないわけはないのだが、それ以上に日本が世界に誇るマンガという芸術がどのように生み出されるのか? その行程をつぶさに感じられるところが圧倒的にリアルで興味深い。「田中くん」が千葉プロに入ったのは昭和52年(1977年)。作品でいうと『おれは鉄兵』『のたり松太郎』の頃。当然パーソナル・コンピュータなど影も形もなく、特にちば作品では枠線以外定規は使わず、背景までがすべてフリーハンド。「マンガ」とは原作もストーリーもコマ割りもネームも重要なのだろうが、何よりもまずは「画」であり、「技術」と「職人技」なのだということがひしひしと感じられる一作。本日、第1巻読了。全2巻。
※『あしたのジョーに憧れて』(講談社)第1巻・第2章より。ちば先生がペン入れした原稿に墨汁をこぼしてしまい、先輩アシスタントたちの助けを得て、必死にリカバーする「田中くん」。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVID