お知らせです。新刊が出ております。本橋信宏さんとの共著で
『エロ本黄金時代』(河出書房新社)という本です。帯に<1980年代に輝いた、エロ本という文化。>とありますが、その惹句通りこれは文化、特にサブカルチャーに関する本です。なのでエッチなこととか女性のハダカに関する話はほとんど出て来ません。1970年代、僕は中村とうようさんの『ニューミュージック・マガジン』、植草甚一さんや高平哲郎さんらによる『宝島』、そして椎名誠さんの『本の雑誌』など、雑誌文化にまみれ埋もれるように10代を過ごしました。
そして20代になり大学を卒業した頃、そんな光り輝くような雑誌文化の中で、最も最先端を走っているのが今でいうアダルト雑誌、当時の呼び名で「エロ本」であると確信したのです。なぜ確信したのか? という理由はこの本の中で書いています。ですからまさに「確信犯」的に、僕はエロ本編集者を目指しその職に就いたのでした。やはり70年代から80年代に光り輝いていた雑誌のひとつに『ガロ』(青林堂)があります。かつてその編集長でもあった南伸坊さんが、素晴らしい装画を描いてくださいました。
南伸坊さんは1981年に
『さる業界の人々』という本を書かれています。「さる業界」とは「エロ本業界」のことです。僕はこのルポルタージュ的エッセイをちょうど大学を卒業した頃に読み、強い影響を受けました。そしてこの日記では何度か書いていますが、2013年に『ビデオ・ザ・ワールド』(コアマガジン)が休刊したのを契機に、僕はアダルト誌というものから距離をおかざるを得ない状況に至りました。そしてこれからも、アダルトな媒体に主体的に関わっていく機会は少ないと思われます。南さんがこの本の表紙を描いてくださったことで、僕の「エロ本編集者」「エロ本ライター」としての人生も、まるでくるりと円を描いて「ふりだしに戻る」が如く幸せな終焉を迎えることが出来ました。
※写真下はカバーを外した表紙。本書アートディレクター米谷テツヤさんのご判断で
昨年9月11日の日記でもアップした、橋本杏子嬢の写真を使って頂きました。他にも本文大扉と目次にも、東良美季撮影の写真が掲載されています。data:iPhone6 #instaplus #Azoic #CRT