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あれはおそらく昨夜11時過ぎだったと思う。この日記はたいてい仕事を終えた後、9時から10時くらいにかけてざっと書き、その後お風呂に入り洗濯機を廻し、ビールを飲みつつ推敲してアップしている。そして、それが終わった後洗濯物を干し、いよいよ本格的な夜食(と言っても肉豆腐とかおでんだとかのツマミだが)となる。だから昨日もそれら一日の作業がすべて終了し、さてさて「あさちゃん(NHKの朝ドラ『あさが来た』)」を観つつ焼酎を一杯といくかと思ったときだった。「あっ、明日は燃えるゴミの日だった」と思い出した。週に2回、これを忘れると金曜日になる。いまだに日中暑い日があると生ゴミが臭うので、今晩中に出しておこうと玄関を出て階段を降りた。
脱水症状はあるのだろうか? 首筋の後ろと背中の皮を引っ張ってみる。わからない。これはみャ太が病院通いしているとき獣医さんから「普段から気をつけてチェックしておくように」と言われたことだ。けれど彼が死んでもう10年も経っているし、成猫と子猫では感触がまったく違う。しかもこの白い子ネコの背中の痩せ方は尋常じゃなかった。撫でると骨をそのまま触っているようだった。今出来ることは何だろう? 素人考えだが、暖めて安心させて眠らせることしかないと思った。だから左胸のフリースの中に入れて人間の心音を聴かせ、頭や喉を時々撫でた。子ネコは大きく息をしながら眠り始めた。 そのままの格好で3時間くらい経ったろうか、やっと息が正常に戻ったように思えた。前足で伸びをするような、ネコらしい仕草もするようになった。そこで少し安心して、子ネコを胸に入れたままMacの前に座り検索した。毎朝ジョギングで公園へ向かう途中に動物病院がある。診察時間を調べてみると9時から。幸い明日は休診日ではない。あと5時間。あと5時間で専門家に診てもらえる。点滴とか注射とか、何か有効な手立てを講じてくれるはず。子ネコを抱いて布団に入った。仰向けに寝て心臓の上に乗せてやると頭を擦りつけるようにして眠った。時々思い出したように、やはり「ミー」と「キー」の間のカン高い声で鳴いて、何かを探すような仕草をしたが、撫でてやるとまたすやすやと寝息を立てた。 けれどそうして暗い部屋で子ネコの寝息を聴いていると、自分がとんでもない間違いをしでかしたような気がしてきた。たとえコイツが助かったとしても、この狭いアパートではネコは飼えない。いやそれ以上に、この先10年、15年と、昔のようにネコと暮らしていく覚悟が自分にあるかと問われたら、正直その自信はなかった。幸い2007年に『猫の神様』という本を出して以来、多くのネコ好きの人と知り合うことができた。中には外猫の保護活動や里親探しのボランティアをしておられる方もいる。だからひょっとして飼い主が見つかるかもしれない。 しかし、今こうして心臓の上に寝ている生き物を撫でていると、その発育の悪さに恐怖を覚えた。まず頭がとても小さい。小さすぎる。極端な栄養不良が脳の発達を妨げているということはないのだろうか? これまた素人考えだけど、脳に極端な障害があったとき、一般的なネコのように、飼い主になつくことができるのだろうか。普通のネコなら何でもない、トイレのしつけとは大丈夫なのか。いや、実はそれ以上に気になっていることがあった。部屋に上げて電灯の下で初めて見て以来、この子は眼に光がまったくない。目やにはまったく見て取れないのだけれど、そもそも眼がほとんど開いてない。指先を近づけても瞳の動きがわからないのだ。 果たして眼は見えているのだろうか? このネコをたとえ一晩助けたとしても、それはこの子にとっての、もうひとつの不幸の始まりだったらどうしよう。オレはやはり、ひどい間違いをしでかしたのではないか。暗い部屋の中で、気持ちもどんどん暗くなった。それがおそらく午前4時頃だったと思う。 ※写真は午前2時頃だろうか。お尻がウンチで汚れていたからぬるま湯で濡らした雑巾で拭いてやると、少しだけネコらしい仕草をした。data:iPhone6 #instaplus #Normal #CRT
by tohramiki
| 2015-10-27 18:09
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