先週は久しぶりに会う知人たちに食事に誘ってもらい、墨田区の東武線曳舟駅まで出かけた。長らく東京に住んではいるが、僕のように元々は小田急線沿線で育ち大学は渋谷、現在は中央線の外れに住んでいるというような者にとって、墨田区や江東区、葛飾区辺りは不案内きわまりない土地である。今はGoogleMapや乗車案内アプリがあるから一応たどり着けるものの、お茶の水で総武線に乗り換え秋葉原を過ぎると、つまり山手線の外に出てしまうともう判らない。何が判らないのかというと、自分が今どこにいてどこへ向かっているのかがサッパリ理解出来ないのだ。まるで外国の空港を出た時のような気分。さらに隅田川を渡ると、そこはもう異界である。そんなワケでボンヤリと電車に揺られていると、iPhone6のアプリが「亀戸駅で乗り換えよ」と言う。

ホームの階段を降り、「東武線ってどっちだろう?」と案内板に沿って進む。改札を出て右手へ。すると前方に、いわゆる〈頭端式〉と呼ばれるホームが見えてきた。〈頭端式〉とはごく一般的な列車が通過するタイプの〈貫通式〉とは違い、ホーム先端が行き止まりになった形だ。近年、私鉄の相互乗り入れと直通運転が増えたため、このタイプのホームは珍しくなった。東京で他に見られるのは井の頭線の渋谷駅と吉祥寺駅、西武新宿駅くらいか──? そんなことをボンヤリと考えていてハッと思い出した。ここ、東武亀戸駅には一度来たことがあるじゃないか! あれは2012年の秋、レギュラーで仕事をしていた雑誌が次々と音を立てるように廃刊となって消えていき、唯一残ったコアマガジン社『ビデオ・ザ・ワールド』誌も年明けの休刊が決まり途方に暮れた。
これはもうライター業はあきらめて、自分に出来る他の仕事を探そうと毎日ネットのハローワークを検索していた。その時、知り合いの編集さんから墨田区のタウン情報誌、飲食店のページの仕事があるんだけどやりますか、と声をかけてもらった。商売替えするにしても、とにかく少しでもお金が欲しいので「何でもやります」と答えたものの、食べ物屋さんの取材なんてやったことがない、大丈夫かな、自分に出来るのかなと不安だらけで向かった。その一件目のお店が、この沿線にあったのだ。何処だっけ? と駅の路線図を見て思い出した。曳舟の一つ前、小村井駅だ。そう、〈こむらい〉ではなく〈おむらい〉と読むんだ、なんてことも思い出した。40代とおぼしきご夫婦2人でやられている洋食屋さんで、夜は居酒屋になるとおっしゃっていた。
人の良いご夫婦で、夕方までに5件廻らなければならないというこちらの勝手なスケジュールから、かなり朝早くからだったにも関わらず、とても穏やかに丁寧に接してくださった。今考えるととあれがキッカケだった。とても楽しい取材だったから、別にAVライターにこだわる必要はないんじゃないか、そう思った。もしもあの時メゲたり凹んだり、嫌な気持ちにでもなっていたら、今頃はまったく別の職に就いていたかもしれない。最後にご主人の顔写真を撮らせてもらうことになった時(奥さんは「ワタシは恥ずかしいからいいワ」と笑った)、「ちょっと着替えていいですか」と、ご主人はお洒落なコック服を着た。そして「取材してもらえるのが嬉しくてね」と少し誇らしげな顔になった。実は1年前に大病をして、半年以上お店を閉めていたとそこで初めて聞いた。「3ヶ月入院して、その後も身体にずっと管を通していたからね」「一時はもう店はあきらめなくちゃと思ったよ」と。
電車は小村井駅に近づいていた。知人たちとの待ち合わせは6時半。車窓の外はすっかり夜になっている。お店は「駅から徒歩1分」とタウン誌の情報欄には書いたが、実際は改札から2軒先くらい。線路からは数10メートルの距離だ。眼で追うとあった。お店から通りへとにぎやかな灯りが伸びていた。繁盛しているようであった。
※写真は東武亀戸駅のホームにて。売店は昭和を感じさせるたたずまいだった。data:iPhone6 #instaplus #Daido #CRT
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