会社でシャープペンシルを使う必要が出来、通勤途中に文房具屋さんに寄ろうと思ったのだけど、そこでハタと思いついた。家の何処かにあるのではないか? 鉛筆やシャーペンのたぐいは、おそらくもう20年以上手にしたことはない。ただ、大昔、DTP(デスクトップ・パブリッシング)以前の手描き時代に使っていたものがあるはずだ。それも商売道具だから、1本2000円もする製図用のものを持っていた。帰宅してから、夜中に仕事場の押入を探してみる。昨日、我が家には捨てなければならないものがたくさんあると書いたけれど、寝室のクローゼット同様、ココでも不要なものばかり眼に付いた。結局のところそれらはすべて、AVライター時代の残骸のようなものだ。
デジタルビデオカメラ及びテープ。これはデッキ代わりにして古いVHSテープをダビングし、iMacに取り込むために使っていた。買ったのは2000年頃。当時の値段で20万くらいした。今やiPhoneで撮れる程度の画質だろう。他にも何度も書き込めるDVD-RW、資料として残しておいた雑誌記事のコピー、などなど。この先アダルトビデオについて書く機会もあるかもしれないが、それにしても必要のないものばかりである。僕はいわゆる「断捨離」とか、機械的な「整理術」みたいな考え方があまり好きになれない。過去に執着し過ぎるのもいかがなものかとは思うけれど、それにしても「断ち切り方」というものがあってもいいという気がする。
たとえかつての生き方が残骸のようにしか見えなくとも、今が存在するのはそれらがあってこそだ。捨てるにしても、愛情を持って見つめ直し、抱きしめてからにしてやりたい。ところで、そんなふうにエラソーに言いつつ、肝心の2000円のシャープペンシルは最後まで出てこなかったのだが。
※写真は会社の近くにある〈ベルギー・スクエア〉という建物。ベルギー王国大使館の建替えを機に作られた、大使館、オフィス、住居が複合した職住一体の街区だとか。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。