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今日になるまで、女優の坂口良子さんが亡くなったというのを知らなかった。そう言えば昨夜だったか、取材から戻って何気なくテレビをつけたら西田敏行主演の『池中玄太80キロ』の映像が流れていて、「何故だろう?」と思っていたのだ。この作品は1980年の放映だそうだから、僕は既に大学生になって実家を出ていたので観ていない。当時の一人暮らしの学生にとって電話やテレビは贅沢品でとても買えなかったし、大学に通うようになれば、それなりに忙しいこともたくさんあったからだ。だから僕らの世代にとっての坂口良子と言えば、『前略おふくろ様』の「かすみちゃん」である。こちらは1975年に始まり、好評につきシーズン2が作られた。Wikipediaによれば第1シリーズが「1975年10月17日〜1976年4月9日」、2が「1976年10月15日 - 1977年4月1日」。ほぼちょうど丸々、僕の高校の3年間に重なる。
『太陽にほえろ!』(1972年〜1973年)のマカロニ刑事役と『傷だらけの天使』(1974年〜1975年)に於いて、肩まである長髪に全身メンズビギで決めていた萩原健一が、一転バッサリと丸坊主に近い髪型になり料亭で働く板前を演じる──これは社会的な事件ですらあった。つまりシラケ世代の旗手、反抗のシンボルであったショーケンが転向、日和って大人達へすり寄ったのだとも言われた。もちろんそうではなかった。原案・脚本の倉本聰(一部は市川森一、金子成人らが執筆)が言いたかったのは、どんなに保守的で伝統的な世界にあっても、若者は常に若者らしい悩みと希望を抱くし、そこには老若男女誰もが共感出来る青春があるのだということだった。主人公の片島三郎、通称・サブは深川の料亭「分田上」で働くかけだしの板前。坂口良子演じるかすみは同僚の仲居であり恋人役だ。 ただし倉本作品だからこの辺りが一筋縄ではいかず、かすみは仲居でありながら、同時に木場を代表する鳶の一家「渡辺組」のひとり娘なのだ。組の小頭が室田日出男演じる半田妻吉、通称・半妻。その弟分が川谷拓三の利夫。さらにはかすみは元々半妻のいいなづけで、その仲は今は終わっているものの、半妻は未だかすみに未練があるらしいと匂わされる。また一方ではサブの遠縁の娘、海(桃井かおり)が現れ、利夫が彼女に横恋慕することから物語はさらに複雑に展開した。こうして東映のやくざ映画では活躍していたものの、一般的にはほどんど知られていなかった室田日出男、川谷拓三がお茶の間のスターになっていく。ついでに言えばサブが尊敬する花板(板前の長)・村井秀次を演じるのが梅宮辰夫。元々は浅草でならしたヤクザだったという設定で、こちらもまた『不良番長』シリーズから『仁義なき戦い』に至る東映やくざ路線をメタファーとした役柄であり、梅宮辰夫が現在ではテレビドラマにとどまらずバラエティでも活躍する元になっている。 それにしてもキャンディーズのスーちゃん(田中好子さん)もそうだったが、坂口良子さんもまた、きれいなままで死んじゃったんだなと思わずにはいられない。シワくちゃなオバアチャンになるまで生きて欲しかった。何故なら『前略おふくろ様』シーズン1のラスト近く、ショーケンによる以下のような印象的なモノローグがあるからだ。このシーンを観ていつか自分も、そして身近にいるあの可愛い女の子も必ず歳を取るのだと、その未来を思い浮かべたのは僕だけではないだろう。故郷・山形にいるサブの母親(田中絹代)はずいぶん前に連れ合いを亡くし、サブには7人の兄(登場するのは生井健夫・下元勉・寺田農)がいるのだが、それぞれの嫁との確執などがあり各家をたらい回しにされたあげく、今は蔵王スキー場のロッジに住み込みで働いている。東京暮らしで母親想いのサブは、それが気がかりでならないのだ。タイトルは、そんな息子が母に充てた手紙の書き出しである。そしてこのナレーション。 「たとえばオレが万一かすみちゃんと一緒になったとする。一緒になって蔵王に住んだとする。二人の間には何人か子供が出来たとする。子供達は大きくなり一人前になる。オレが死んでかすみちゃんが残る。その時子供達はかすみちゃんのことを、ただのシワだらけのおふくろとしか見ない。昔『分田上』で働いていた頃の、二十歳を過ぎた頃のかすみちゃんを知らない。そんな母親を知ろうともしない。昔母親が若かったこと、母親にも青春があったということを、子供は知ろうともしない。その時を考えると、オレは涙が出ます──」。
by tohramiki
| 2013-03-30 23:31
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