6時起床。昨夜は10時前にはフトンに入ってしまったから、8時間眠ったことになる。この3週間ほどは取材にアポ取りにと忙しく、2時間、3時間といった睡眠時間が続いていたので、何と言うか、眠りという甘い蜜を吸い尽くすような休息だった。そして夢を見た。夢の中でも取材をしていた。僕は渋谷から東横線で学芸大学へ向かっている。ところが疲労がひどくうたた寝していたため乗り越し、朦朧としたまま次の都立大学で降りてしまう。早く取材先である学芸大学へと戻らなければならないのだが、そこは谷底のような街で、長い長い階段が遥か彼方まで続いている。電車に乗ってひと駅戻ればいいのだが、夢の中の僕に何故かその発想はない。そこで疲れ切った足を引きずって、天国へ続くが如く長い階段を、一歩一歩登っていく。
途中にスキーのリフトのようなものがあるのだが、それはぴたりと止まったまま動かない。近所に住む人が僕を見て、「リフトはもうずいぶん前に廃止されたままなんだよ」と言った。仕方なくまた階段を登る。やっとのことで2/3ほどが過ぎ、遠く頂上に駅が見えて来ると、右手に団地があった。そこは芝生が青々と茂り、木々の緑も豊かだった。子供達が楽しそうに遊んでいる。ああ、そうか、ここはもう春なんだな──そう思った時に眼が覚めた。