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昨夜、仕事の合間に何気なく(というか仕事からの逃避行動で)Twitterを見ていたら、ある人のツイートで思わず「──あっ」と声が出た。それは、藤川黎一という著者による『黒澤明vs.本木荘二郎〜それは春の日の花と輝く』(論創社)という本が、この4月に発売されたということに関してのものだった。本木荘二郎とは『生きる』『七人の侍』等、黒澤映画の全盛期をプロデューサーとして支えた人物。しかしある日忽然と姿を消し、その後はピンク映画の世界で低予算のプログラムピクチャーを量産した。晩年はホームレスとなり孤独死したと言われている。また、この本は84年に出版された『虹の橋〜黒沢明と本木荘二郎』(虹プロモーション/田畑書店)の改訂版であるようだ。その辺りのことは上にリンクしたカスタマーレビューに、実に簡潔かつ判りやすくまとめられているので、興味のある方はお読み頂きたい。
そしてさらに検索してみるとその旧作、『虹の橋〜黒沢明と本木荘二郎』について触れられているブログ(『ぼくのブルーノートブック〜A BLUE NOTE BOOK』)を発見した。そこにはこんな文章がある。〈主人公風祭啓三は海外留学した知人女性の留守宅に住み、ちり紙交換で日銭を稼ぎ、サラ金から借金し、小説を書いたこともあるようですが、いまは本木荘二郎の真実を追求する毎日を過ごしています〉。そうだった、思い出した。本木荘二郎氏は何らかのトラブルに巻き込まれ、半ば抹殺されるように黒澤組と東宝から去る。この本はタイトルからすると一見ノンフィクションのようだが、実は著者を思わせる主人公がその謎を追っていくミステリー的な構造を持つ小説であった。ただし、僕は当時発売されたその本を買ったのではない。著者の藤川氏と直接会い、生原稿を読んだのだ。 1983年だったと思う。僕は大学を出てエロ本の出版社にアルバイトでもぐり込んだものの人員整理のためたった半年で解雇されてしまい、続いて拾われた編集プロダクションも首になり途方に暮れていた。そこに2008年に死んだ親友のKが、「今、ある人が書いた本の売り込み先を探す手伝いをしている」と言ってきた。そして僕に「編集と校正をやる人間が必要なんだけど、取り敢えず一度会ってみないか?」ともちかけたのだ。彼は映画業界に入ったばかり。助監督などをやりながら色んな現場に出入りしていたから、その関係で作者と知り合い関わるようになったのだと思う。場所は下北沢。小田急線の南口を出て、茶沢通りへと下っていく坂道の途中にある喫茶店だった。僕は何か別件の用事があり(たぶん他でも仕事を探していたのだと思う)30分ほど遅れていくと、Kと藤川氏の打合せは終わっているようだった。 藤川氏は当時40代半ばくらいだったろうか。大柄で恰幅の良い、中上健次を思わせる風貌で、如何にも元文学青年という雰囲気があった。けれどそれらの印象も、今となってははっきりしない。20代の頃というのは年長者はおしなべて実年齢より年上に感じてしまうものだし、中上健次風というのも、他の誰かと記憶が入り交じっているのかもしれない。ただ、ひとつだけしっかり覚えていることがある。それは僕が席につき初対面の挨拶が終わるや否や、藤川氏はテーブルに置かれたぶ厚い原稿用紙の束を前にしてこう言ったのだ。「君は編集者なのだから、この程度の原稿は1時間もあれば速読出来るでしょう。だから今すぐこの場で読みなさい。私とKくんはこの先の飲み屋で待っている」。そう言い残すとサッと席を立ってしまった。Kも戸惑い、僕を見て少し心配そうな顔をしたと思う。「大丈夫か?」とも訊いたかもしれない。でも、僕が「後からいくよ」と言うと、藤川氏を放っておくわけにもいかないと思ったのだろう、後を追って喫茶店を出ていった。 「君は編集者なのだから」と言われたものの、こっちはマイナーなヌードグラビア誌の編集をわずか1年足らずやっただけだ。けれどそんなことは言っていられないので、とにかく読んだ。Amazon.co.jpの書籍データによると、『黒澤明vs.本木荘二郎〜それは春の日の花と輝く』は四六判で283ページ。加筆がされていることを差し引いても、400字詰め原稿用紙にして300枚以上はあったはずだ。けれど必死になって読んだ。30年前のことだ。当然ワープロなんてものはないから手書きである。それでも1時間強で読み終えたのだから、やはり相当引き込まれたのだと思う。原稿用紙の束を抱え指定された居酒屋へ行くと、作者は少し上機嫌な感じで飲んでいた。そうだ、もうひとつはっきり覚えていることがある。それは、原稿はその時点では未完だったのだ。主人公は「本木荘二郎は何故黒澤組と東宝を追われたのか?」その謎を追って当時の関係者を訪ねて歩く。当然その結末は、黒澤明本人に辿り着くはずであった。 「主人公は、最後に黒澤明と会うのですか?」僕はそう訊いた。けれどその時相手がどう答えたのか、やはりその記憶も無い。そして結局、藤川氏の仕事を手伝うことはなかった。その後何の連絡も来なかったからだと思う。僕は白夜書房という出版社に拾われ、その後もエロ本編集者として過ごすことになる。そして翌年『本の雑誌』の批評で、あの原稿が完成し『虹の橋〜黒沢明と本木荘二郎』となって世に出たことを知った。評者は僕の雑誌にも書いていてくれた、後にスプラッター作家となる友成純一さんだった。最後にまたもうひとつ思い出した。藤川氏とKと共に下北沢の飲み屋を出ると、外は雨が降り出していたのだ。梅雨か、それとも今頃の季節だったのだろう。
by tohramiki
| 2012-04-30 12:00
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