6時半起床。暖かくなりました。最近、晴れた朝はストレッチをする前に寝室に部屋干ししておいた洗濯物を、ベランダへ干し直すのが日課になった。その際、寝間着代わりに着ているユニクロの長袖ヒートテックTシャツと、やはりユニクロの薄手のロングパンツだけでもさほど寒くはない。毎年思うけれど3月半ばからこの後半は、季節の変わり方は目まぐるしい。思い出すのは中学3年の時。つまり高校受験が終わった後。合否発表の日は、凍りつくような冷たい雨が降っていた。そして次の日曜日、取り敢えずもう勉強する必要はなくなったんだなと思った時、まずしたのはお茶の水へ行くことだった。生まれて初めてエレキギターを買った。明治大学前へと向かう坂道の手前にある下倉楽器だった。
よく憶えてはいないのだが、おそらくシンコーミュージックの『ヤング・ギター』とか、集英社の『GUTS』とかに乗ってる広告の写真で眼を付けていたのだろう。テスコ (TEISCO)という日本のメーカーから出ていた、フェンダー・テレキャスター・シンライン・モデルを買った。お小遣いやらお年玉を貯めていたのだと思う。2万円ちょっとだったという記憶がある。エレキ・ギターに関すること、例えばハムバッカーだとかシングルコイルだとかはサッパリ判らなかったが(実は今でも判らない)、とにかくボディの木目とf型のホールに惹かれた。そして楽器屋の店頭で見ると、それは高級家具のように気高かった。これほど美しいものがこの世にあるのか、と思った。
当時はいわゆるギグバッグ、つまりビニール製のソフトケースというものがまだなく、ハードケースに入れてもらった。無料ではなかったと思うが、サービスで安く付けてくれたのだろう。そして店を出る時、店員さんが「ありがとうございました!」と背中にかけてくれた言葉が照れくさいような、「まだそんなに上手に弾けないんだけどな」という恥ずかしい想いもあり。でもギターケースをブラ下げていると、まるでミュージャンになれたような誇らしい気分で駅へと歩いた。外はもう春だった。
※写真はそのTEISCOテレキャスター・シンライン・モデル。今も現役・・・と書きたいところだが、十数年前にピックアップのねじが取れて紛失し、接触も悪くなってしまい、以来弾いていない。出来ればリペアして音を出せるようにしたいのだけど、いつになるやら。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・400。