今日は夜の9時より渋谷〈アップリンク・ファクトリー〉にて、
「『監督失格』公開記念平野勝之監督特集〜入門編」。カンパニー松尾監督とのトーク。その前に取り敢えず第1弾をアップ出来たということで『空飛ぶ円盤に乗った男の話』の打上げ。しかしさらにその前に、担当編集さんから「銀座シネパトスで、髙平哲郎さんがトークショーに出られるそうですよ」と教えられる。現在同館では、長男で俳優の仁科貴さんセレクトによる
『川谷拓三映画祭・3000回殺された男の美学』が開催中なのだ。髙平さんと言えば演出家であり放送作家、『笑っていいとも!』のスーパーバイザー他、多くの肩書きに持つ人だが、僕にとっては雑誌『宝島』創刊時の編集者であり、なんと言ってもインタビュアー、作家である。
『宝島』、そして『ムービー・マガジン』に書かれていた役者さん、芸人さんへの臨場感溢れるインタビューは、僕にとって何よりニュー・ジャーナリズムだった。それらをまとめられた『みんな不良少年だった』(この冒頭、一人目のインタビューイが川谷拓三さんだ)、『星にスイングすれば』を読んだのがおそらく10代の終わりか20才くらいの時。自分もいつか、インタビュー原稿というものを書いてみたい、それを職業にしたいと心に決めた。編集さんはそれを知っていたので、「行ってみませんか? それほどお客さんが来られる会場じゃないから、お声掛けしたらご挨拶出来るかもしれませんよ」と誘ってくれたのだ。「行きます!」と僕は答え、中でも大好きな、そしてもう何度も読みすぎてボロボロになってしまった『星にスイングすれば』を抱えて出かけた。
好きな作家さんは数多くいるが、ご著書にサインをもらいたい、自分の想いを伝えたい、そう思うのは髙平さんだけだ。銀座シネパトスのあの、場末の飲み屋街のような地下通路。トークと上映が終わり出て来られたところに近づき声をかけた。「10代の頃、髙平さんの文章に出会い、物書きになろうと決めました。そして今、細々とですが、文章を書いて暮らしています」と言って、『代々木忠 虚実皮膜〜AVドキュメンタリーの映像世界』をお渡しした。髙平さんは気さくにサインに応じてくださり、テレビ等で拝見するあの笑顔そのままに、「ありがとう。会えて良かったよ」と右手を差し出された。実は今日で、僕は53才になった。人生最良の誕生日だった。
※写真は『星にスイングすれば』に頂いたサイン。やはり髙平さんの著書、植草甚一さんとの交流から『宝島』の立ち上げ、タモリさんとの出会い、そして赤塚不二夫さん、山下洋輔さんらとの日々が描かれた
『ぼくたちの七〇年代』(晶文社)と共に。「2011 11.13」と、今日の日付が入っている。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。