相変わらず日々のシアワセは、夜の仕事終わりの15分、朝ドラ『カーネーション』です。昨夜やっと木曜日オンエアぶんを観た。財前直見演じるミシンの先生・根岸良子に、お父さん(小林薫)が頼み込んで、逆にお父さんから謡を教わる条件で、糸ちゃん(尾野真千子)は洋裁を教えてもらえるようになった。ラストシーンはその根岸先生が小原家にやって来るところだったが、いやはやその出で立ちの格好良いこと、この時代の職業婦人というのは、本当にお洒落だったんだなあと思う。いや、女性だけでなく洋装だけでもなく、歌舞伎役者・中村春太郎(小泉孝太郎)の三揃えは勿論のこと、例えば電気屋のおっちゃん(甲本雅裕)のサスペンダー付きズボンにハンチング、お父さんの和服にカンカン帽、泰蔵兄ちゃん(須賀貴匡)大工の仕事着に至るまで、すべてが徹底的にスタイリッシュである。
NHKだから時代考証が徹底しているのか、あるいは今風にアレンジがされているのかは判らないし、そして当然、財前直見や、小林薫や甲本雅裕と言ったスタイルの良い役者さん(甲本雅裕はあの甲本ヒロトの弟さんだから、お兄さんにも似て手足が長くてカッコイイ)が演じているからなのだが、それにしても、こういうお洒落な服装を見ていると、ただ「安くてリーズナブルだから」という理由で、上から下までユニクロで統一してる自分がヤになりますね(涙)。そして今夜観た、金曜放映分では、根岸先生が糸ちゃんに「胸を張って、誇りを持って洋服を着なさい」と伝える場面があった。そう、服飾とはお洒落とは、その人の生き方そのものなのだという哲学が、このドラマには貫かれている。
そう言えば栗山千明演じる奈津の女学生時代、その袴姿も美しかった。つまり女性の生き方が服装によって変わっていく、それは古いものがだめで新しいものが良いとかそういう意味ではなく、服飾というものに込められた人々の意思、哲学、そして文化なのだ。作者が強く訴えたいのはそれなんだと思う。