相変わらず人生の楽しみは坂本教授の音楽と、朝の連ドラ『カーネーション』だけである。というわけで本日も日がな一日
『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2009 Japan』を流しながら原稿を書き、深夜になってからHDD録画を再生する。『カーネーション』は昨日、10月19日放映ぶんがまた本当によかった。尾野真千子演じる糸ちゃん(小原糸子)は念願の洋裁に一歩近づくため、女学校を辞め枡谷パッチ店で働くことになるのだが、すると店主・桝谷幸吉(トミーズ雅)以下、おかみさんから従業員に至るまで、全員の態度が一変する。遊びに行っていた頃は「お客さん」として歓迎されていたのが一転、いちばん下っ端の見習いとして厳しくコキ使われるのだ。始終怒鳴られアゴで使われ、まかないのお昼すらまともに食べることがままならない。けれど何より悲しいのは、職人の一人から大好きなミシンには「アホか、10年は触らせて貰えるか!」と言われてしまったことだ。
頑張り屋の糸ちゃんは悔し涙を流しながらも、家では一切そんなそぶりは見せず明るく振る舞う。でも、お祖母ちゃん(正司照枝)は何故か判っていて、「これ、持っていき」とお弁当を持たせてくれ、お母さん(麻生祐未)は「辛いことがあったら食べるんやで」と金平糖を渡してくれる。ココが泣ける。泣けるったら泣ける(涙)。しかし、感動するのはその後だ。糸ちゃんはそこで初めてお父さん(小林薫)が口癖のように言う、「働きにいくと思うな。勉強や、勉強させて貰ってると思え」という言葉を理解する。そうしたらアラ不思議、嫌で嫌でたまらなかった下働きのひとつひとつが楽しくなっていく。店のガラス窓を拭く時、「縦縦横横と拭くんや!」と頭ごなしに怒鳴られても少しも判らなかったのが、「そうか、縦縦と拭いて、それから横横としたら汚れが残らへん。ごっつキレイになるやん!」と理解する。
朝は誰よりも早く出勤して掃除する。すると、「窓を開けると空気が入れ替わって気持ちいい」「机をきれいに拭くと、使う人は嬉しく思う」、ひとつひとつ、色んなことが知識として心に積み重なる。糸ちゃんは思う。「勉強したことは、どんどん増えていく」、しかも、修行する10年という時間、「それは増えていかへん、どんどん減っていく」。これはもう、ね、紙に書いて部屋に貼っておきたいような言葉であります。いやホント、勉強になるなあ!(笑)。そうそう、人生の楽しみ、実はもうひとつありました。NHK、Eテレで放送している
『野田ともうします』という毎週5分間の短いドラマ。元々は漫画が原作で、以前この日記を読んでくださっている方から、「柘植文さんの『野田ともうします』という作品、ご存じですか? トーラさんの『猫の神様』が引用されているんですよ」と教えて頂いた。そちらの方は未だチェックしていないのだが、いずれテレビにも出てくるのだろうか? ともあれネットで公開されている前回放送ぶんを是非観てください。いやはや本当に面白いんだから。