身も心も疲れ切って、かなり追い込まれた状況ながら、本日も終日iMacに向かう。坂本龍一
『トニー滝谷〈Soundtrack〉』をエンドレスで流す。今はこの音楽だけが頼り、という気がする。教授自身は、「音楽がそう簡単に癒しになるとは思えない」と発言されていたと思う。確かに、癒しというのとは少し違うかもしれない。以前女優の中谷美紀さんがテレビで、「私は音楽というものが一切聴けない人間だったけれど、坂本さんの音楽に出会い、聴けるようになりました」というようなことを語っていた。その時はずいぶん極端なことを言う人だなあと思ったけれど、今は何となく判るような気がする。
『トニー滝谷』は、言うまでもなくイッセー尾形、宮沢りえ主演、市川準監督による映画だが、僕は未見。DVDでは観たくないなあ。しかし70年代と違い、名画座という存在が少なくなってしまった今、劇場のスクリーンで味わうのは難しいのか。それにしても、この音楽を聴いていると、村上春樹さんの原作、その最後のフレーズ、〈トニー滝谷は今度こそ本当にひとりぼっちになった〉という文章が、身体の奥底、細胞の隅々まで染み込んで来るような気がする。ところでドラマ『JIN─仁─』を観て以来、中谷美紀さんをテレビ、CM等でお見かけするたび、「この人、身体大丈夫かな?」と思わず心配してしまうのは、決して僕だけではあるまい。