5時起床。午後より打合せがあるので、早朝より原稿書き。2時過ぎに外出。先方の事務所は明治通り沿いの神宮前2丁目。原宿からの方が近いのだが、敢えて千駄ヶ谷から歩く。思い出深い街だ。3年前に死んだ親友のKが、東京都体育館の先にあったピーターキャットというジャズ酒場で働いていたこともあり、この界隈に住んでいた。やがて僕も神宮前3丁目に移り住み、20代のほぼ半分を過ごした。ビクタースタジオへと降りる坂道の前に、鳩森八幡神社前という交差点がある。初めて来た時にKが、「トーラ、ココはまともに信号を待ってると一生渡れないぜ」と笑った。今でもを通る度に必ず、その笑顔を思い出す。
確かに五叉路になっていて、歩行者信号が延々と青に変わらなかった。あれから30年経って、少しは改善されているのだろうか。よく判らない。というのは、今日もほとんどの歩行者が赤信号の時、左右を見渡して車が来なければ渡っていったからだ。ピーターキャットは居酒屋風カフェになっている。その下にあった白馬という喫茶店も今は別の店に変わった。明治通りの方に降りていく途中の、将棋会館だけが昔のままだ。帰りは新宿まで歩き、タイムズスクエアの紀伊國屋書店に寄る。長らく廃刊だったが最近復刻された大里俊晴
『ガセネタの荒野』を買い、帰りの中央線の中で読む。
以前にも書いた記憶があるが、Kと一緒にやっていたR&Bバンドで、そのガセネタと同じステージに出たことがあった。ステージと言っても学園祭だから、大学の教室だ。江古田の日大芸術学部文芸棟だった。Kが鳩森八幡神社の前で、「一生渡れないぜ」と言った頃のことだ。
※写真は2010年4月。東京体育館裏の陸上トラック。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。