先週一週間早起きを続けたせいか、一昨日辺りから眠くて仕方ない。それとも春眠暁を覚えず、ということだろうか。土曜日から、ご飯を食べる時とかシットアップ等をする時、金曜深夜に放送されたテレ朝系『朝まで生テレビ』をちょっとずつ観ている。特に番組後半、東京電力の執行役員という人が出て来てからの、原発事故及び今後のエネルギー問題が気にかかった。考えてみればこの番組は、80年代半ばチェルノブイリがあって、広瀬隆氏の
『危険な話』等の著書に端を発した、反原発論議で盛り上がったのだ。
アメリカではそれより前、1979年にペンシルベニア州のスリーマイル島で原発事故があり、文化人や知識人の間で反原発が一気に盛り上がった。同年9月にはニューヨークのマジソン・スクェア・ガーデンで
『NO NUCKS(原子力発電は要らない)』というコンサートがオーリアンズのジョン・ホール提唱で催され、クロスビー、スティルス&ナッシュ、ジャクソン・ブラウン、ドゥービー・ブラザーズ、カーリー・サイモン、ジェイムス・テイラー、ジェシ・コリン・ヤング、ライ・クーダーにブルース・スプリングスティーンという、もう「錚々たる」という言葉では足りないくらいすごいミュージシャンが出演した。
あの頃僕みたいなミーハーなアメリカンロック・ファンは、単純に「そうだ、もう原発なんて要らないんだ、これからはクリーン・エネルギーだ、風力だ、太陽光だ」なんて思ったものだけれど、2011年になった今、世界はあまりに複雑化している。60年代に「測定出来ないほど安い」と言われ推進された原子力エネルギーは、70年代当時「人類史上最も高くつく経済的失敗」とされたが、今はまたひっくり返った。『朝生』で田原総一朗氏も発言していたけど、最近は原発ルネッサンスとかで、またもや経済的とされているそうだ。一方風力や太陽光は、確かにクリーンだがコストが膨大にかかると言われ、けれどそれだって実際何処まで本当だか判らない。原発に既得権のある人達からの意図的なアナウンスかもしれない。
いやそういうことよりも何よりも、こうして計画停電なんてものが日常的に起こり始めると、経済的な打撃が激しい。『朝生』でも、停電の度にGDPが何兆円の単位で下がるという発言があった。僕らが「私達は暖房の温度を下げても良いです、電気も暗くて良い。慎ましく節電して暮らします」と言っても、もうそれだけでは済まない社会になっている。今もしも日本が原子力発電を辞めるという決断をしたら、まず最初に潰れるのは中小企業の町工場らしい。いや、それ以前に、今原子力は要らないと判断したら、単純に考えて原子力発電に関わっているすべての人が失業する。そういうところを救おうとすれば税金が上がる。消費税が20%とか30%になったら、一般の家計を圧迫する。結果経済は冷え込み、国全体が袋小路に追い詰められる。
既得権と言っても、それはもう一部の金持ちや権力者が占めているものではない。我々一人一人の生活に、まるで放射性物質のように、密かに確実に染み込んでいる。
※上にリンクしたYouTubeは『NO NUCKS』コンサートのフィナーレ。ドゥービー・ブラザーズの「Takin' It To The Streets」。1番の歌詞をドュービーズのマイケル・マクドナルドが歌い、2番をジェイムス・テイラーが歌う予定だったようだが、忘れていたのか、すかさずジョン・ホールがフォローする。