渋谷にて、来春発行予定単行本用の取材。夜7時過ぎに終わり、編集Tくんと渋谷井の頭線脇ガード下の焼鳥屋でビール。良い意味での緊張感に包まれ、集中を要するインタビューだったのと、Tくんと二人でじっくり話すのも久しぶりだったこともあり、気がつくと時間が経ち、12時近くになっていた。渋谷駅で彼と別れ山手線に乗り込む。何気なく携帯を見ると太賀麻郎くんからメールが入っていた。あれはちょうど2年前の晩秋、夜家で仕事をしていると、当時Tくんの上司だったAくんより突然電話があった。東京三世社の老舗AV情報誌『オレンジ通信』を訳あって引き継ぐことになったので、何か原稿を書いて欲しいということだった。
Aくんとはたぶんその時5、6年振り。Tくん共々とある編集プロダクションにいてその頃の付き合い。しかし二人とも相次いでそこを辞め、以降疎遠になっていた。「何か書きたいテーマ、ありますか?」と訊かれ、僕はすぐさま「今や伝説の男優と呼ばれている太賀麻郎について書きたい」と答えた。Aくんは「イイですね。直接の担当はTなんです、憶えてるでしょ。彼と相談してすぐかけ直します」と言い、5分も経たないうちに「決めました。やりましょう」ということになった。そしてちょうど麻郎ちゃんが結核で清瀬の複十字病院に入院していたので、3人でお見舞いがてら取材に出向いた。それが08年の10月。
以降、『オレンジ通信』が売上げ不振のため誌名が変わったり、やがて雑誌自体が無くなり、しかし運良く連載を引き継いでくれる別の雑誌が現れたりと紆余曲折が続いたものの、結果的にその仕事は今年の春、
『AV黄金時代 5000人抱いた伝説男優の告白』という本にまとまった。そして現在進行中の単行本は、その流れの最先端、あるいは最も深い部分に触れるものだ。すべてはあの夜、Aくんからの一本の電話で始まり、複十字病院の屋上に4人で顔を揃えた夕方に動き始めた。その時撮った麻郎くん写真は、約1年前の
10月16日、この日記にアップしてある。