ふと眼が覚めると8時。久しぶりに陽が昇ってから起き出す。jogは自粛して、朝から仕事。合間を見て、少し前からコツコツと続けている部屋の片付けもする。今日は雑誌をかなり処分した。50冊くらい。雑誌というものは、書籍より圧倒的にその時代を語る。僕のような文章を書く者からしたら、資料としての価値は大きい。例えば『DTP WORLD』(ワークスコーポレーション)というのが我が家に10冊ほどあった。買っていたのは90年代後半から00年代初頭。アドビが大日本印刷と提携し、inDesignで本格的な日本語組版ソフトに乗り出す前、まだQuarkXPressがスタンダードだった時代。
MacのOSはまだ9が主流でOSX以前。そんな前時代的なQuarkXPressを使って如何にグリッド(組版のフォーマットのこと)を作っていくか、というような特集が組まれている。昔日の想いというか、今ではもほとんどの人が忘れ去ってしまった記憶が詰まっている。ふと、そう言えばこの雑誌最近見ないなと思って検索してみると、09年の5月号で廃刊になっていた。InDesignも今年の5月にはVer. 7.0のCS5が出て、すっかり定着した。デザインを生業とする人達も、今は情報をネットから仕入れるので、DTP雑誌というものも役割を消したのかもしれない。
他にはTBSブリタニカから出ていた『Bacchus(バッカス)』、CBSソニー・パプリッシングの『TYO』。前者は「酒」をテーマにした雑誌で、『居酒屋大全』(講談社)という著書もある太田和彦とアマゾンデザインによる個性的なアート・ディレクション。後者も、アメリカンナイズされたロゴタイプを使い、タイトル文字のデザインが素晴らしかった。この2誌は僕がまたMacを使い始める前、紙にシャープペンを使ってレイアウトをしていた頃、常にお手本にしていた。想い出深く取っておきたいのだが、以前暮らしていたアパートは湿気がひどかったこともあり、両者ともページがもうボロボロだ。
『TYO』はいわゆるアイドル雑誌だが、載っている女の子達を、今改めて見ると少し驚く。例えば永作博美のいたribbonというグループ、あるいは高岡早紀、田村英里子、桜井幸子、酒井法子、渡辺満里奈、谷村有美──こういった人達がアイドルと呼ばれていた頃の記録だ。まさに時代を語っている。取っておきたいのはやまやまだが、でも致し方ない。誰もが立花隆のような家に住めるわけではない。
今日、TVのニュースはYouTubeに流出した、いわゆる「尖閣ビデオ」の話題で持ち切り。夜になって加湿器を出した。今年で3年目になるペットボトル式の安物だが、良く働いてくれる。昨日書いた友人からは、「富士山がキレイです」という件名のメールが届いた。亡くなったネコは、田舎に連れて帰り、実家の庭に埋葬してあげるとのこと。その移動の途中に知らせてくれたのだ。彼女の故郷は山陽の方だったはず。御両親は農業をやられているから、きっと広い敷地と豊かな草花があるだろう。愛猫が眠る庭には、来春きっと美しい花が咲くはずだ。