10時までゆっくり寝て、jogに出る。124分と少し長めに。東京の最高気温は34度。けれど、やはりその陽射しには少し元気が無くなって来た気がする。夜、なかなか観られなかった『ゲゲゲの女房』を、4回ぶんまとめて観る。今週は水木しげる、もうひとつの代表作と言われる
『総員玉砕せよ!』にまつわる、茂さんの戦争体験の話が軸だったが、同時に長女・藍子ちゃんが学校で「ゲゲゲの娘〜ッ」とイジメられるというエピソードが先週から続いていた。お父さんが漫画家だということが知られたのは、小学校低学年で大抵行われる「職業調べ」というものによる。
僕も、はっきり憶えている。小学校1年の時、突然模造紙に大書きされたものが教室に張り出された。『ゲゲゲの女房』でもそうだったが、児童本人に聞くのではなく、先生が父兄に尋ねてそれを表にするのである。ウチの親父は役者を生業にしていたが、「はいゆう・テレビや映画にでる人」と書いてあった。クラス全員が僕の方を振り返って見た。「好奇の眼」というのは、ああいうのを言うのだろう。その時初めて、自分の父親の職業が、普通の子とは少し違うらしいということを知った。
「有名人」「芸能人」という言葉もその時初めて知った。校庭で遊んでいると、突然知らない上級生に腕を引っ張られ、数十人の年上の子達の前へ連れて行かれる。そして「コイツ、芸能人の息子!」と頼んでもいないのに紹介される。全員が「へー!」もしくは「フーン」と感心したような顔をするのだが、まあ、当時の小学生なので、どれだけの子が「芸能人」という言葉を理解していたのかは判らないが。というか、そもそもウチの親父はそれほど有名な役者じゃない。
それと、これは高校生くらいまで続くのだが、突然あまり良く知らないヤツから話しかけられ、「お父さん、今何の仕事してるの?」と具体的な映画やTVの番組名を訊かれた。いつも「さあ?」と曖昧に答えていたが、心の中で「知るか、バカ!」と悪態をついていた。思うのだが、ごく普通のサラリーマン、例えば父親が営業マンであれエンジニアであれ、今、現在進行形で具体的に「こういうプロジェクトで営業展開してる」とか、「こういう技術開発を進めてる」とか、息子や娘は知ってるものだろうか?
良いか悪いかは別として──我々の世代の父親というのは、家庭でペラペラと仕事の話などしないものだったし、少なくともウチの親父はそんなことをいちいち子供に報告しなかった。要は、他人を自分に置き換えて想像してみるアタマが無いのだ。想像力の無いヤツを、バカという。『ゲゲゲの女房』には藍子ちゃんの友達で、トモミちゃんというデリカシーある心優しい女の子が出て来る。こういう子とは、大人になってもずっと友達でいられる。大人であれ子供の世界であれ、友達とは、相手の気持ちを推し量ってあげられる人格のことだからだ。