8時よりjog。今朝は比較的気温が低い。また明日から猛暑がぶり返すとも言うが、けれど──もう夏は先が見えた。不思議なことに、こうなって来ると、「夏だ、イーグルスだ、ドゥービーズだ」というような音楽は聴く気がしなくなる。iPod Shuffleにはマイルス・デイヴィスの
『アガルタ〈Agharta〉』と
『パンゲア〈Pangaea〉』を入れる。両アルバム共、1975年に日本でライヴ・レコーディングされたものだ。同年2月1日、大阪フェスティバルホール。前者は昼(『マイルスを聴け!』の中山康樹さんによれば、「昼と言っても4時開演」だそうだが)の、そして後者は夜の演奏が収められている。
初めて聴いたのはいつ頃だったろうか。リアルタイムではない。20代の半ばを過ぎていたと思う。最初はこの良さがさっぱり判らなかった。80年代前半のフュージョン、クロスオーバー・ミュージックをくぐり抜けた耳には、下手なファンク・バンドの演奏にしか思えなかったのだ。けれど2度、3度と聞き込んでいくにつれ、このプリミティヴなリズムが、まるで呪術のように入り込んで来る。その印象は今も変わらない。根本的に、上手いとか下手とかいうレベルの音楽ではないのだ。
それにしても、これほどまでに自由で気ままで暑苦しくて、狂気と紙一重の乱暴な音は何なのだろう? 少なくとも、ニューヨークを中心に活躍していた名うてのミュージシャンによるものとは思えない。『ゲゲゲの女房』で茂さんが「ハッハッ、ハーッ!」と踊りながら聴いていた、南方原住民の音楽のようだ。こういう音を聴いていると、夏バテとか言っているのがバカらしくなる。あくせく働くのはやめて、のんびりヒルネして暮らそうという気になる。マイルスはこのアルバム発表後、5年間活動を停止し、表舞台から完全に姿を消してしまうのだが、そういう意味では行き着く所まで行ってしまった音楽なのかもしれない。
※写真は友人が「忙しいだろうけどチケットを見るだけでも・・・」とわざわざ送ってくれた『ゲゲゲ展』の招待券。「鬼太郎、カッコイイねっ!」と、次女・よっちゃんでなくとも思う(笑)。