夏のような日曜の朝。今日もiPod Shuffleには
『忌野清志郎 完全復活祭 日本武道館』を入れてjogに出る。このアルバムは“ドシドシ熱いラヴソング”「Baby 何もかも」で一旦終了した後チャボが再登場。「完全復活祭へよーこそ!」という言葉と共に「よォーこそ」が始まり、「ROCK ME BABY」「雨あがりの夜空に」とアンコールが続き、ラストは清志郎さんがギター一本で唄う「LIKE A DREAM」で終わる。走りながら自分は何故こんなにも忌野清志郎という人が好きなのかと考えた。そして昨日の日記で「自分を弱者と捉えるヤツは最低だ」というようなことを書いたが、この人は常にその正反対のところにいたからなんだなと思った。
まったく売れなかった3人編成のアコースティック時代から、清志郎を含めRCが生意気だったというのは有名な話だ。没後出版されたROCKIN'ON JAPAN 特別号
『忌野清志郎1951-2009』でも、渋谷陽一は「思わず『少し不安を持ったら』と言ってやりたくなるくらい不安を持ってないよね(笑)」と少し呆れ気味に語り、チャボも「それは最初っからそうだったね。自分を世界一だと思ってたはず」と発言している。その他にもカルメン・マキ&OZで人気絶頂だった頃の春日博文が、売れないRCを前座に使ってあげたのにOZのステージを観ずに帰っちゃったとか、『シングル・マン』のレコーディングの際、アレンジャーの星勝が当時西海岸で人気のバンド、タワー・オブ・パワーのホーンセクションを呼んだら、清志郎は「音がキレイ過ぎて気に入らない」と不満を漏らした等々、逸話は色々ある。
その意味で、
「LIKE A DREAM」ほど清志郎さんらしい曲はないだろう。これは元々Booker T.& The MG'sが来日し、共にツアーを廻ったそのライヴ盤『HAVE MERCY!』に収録され、「高校生の頃からオーティス・レディングに憧れていて・・・そんな、オーティスと演ってたMG'sと共演出来るなんて、まるで夢のようだぜ! LIKE A DREAM」というコメントの後に唄われた。けれど歌詞の内容は、「不安を持っていない」「自分を世界一だと思っていた」人とは裏腹だ。たぶん唄の語り手は売れないバンドマンで、「いつかスターになる」というような、〈夢のような・ことばかり言って・ごめんね、マイ・ハニー〉と恋人に語りかける。だから君も〈小さなその夢を・ずっとあきらめないで〉と。