気持ちの良い快晴の一日。洗濯物をベランダに干すのが楽しい。例によってシーツを洗い、布団も陽に当てる。その他色々と雑用をこなしていると、某社の若い編集さんから電話を貰う。用件が済むと、「トーラさん、大丈夫ですか。お仕事無くて、お困りじゃないですか?」と心配してくれる。最近の若者は年寄りに優しい。オレ達がかつて「30才以上を信じるな! Don't trust over thirty!」と叫んでいたのとは大違いである(笑)。しかし「××社さん(彼の勤める出版社)だって、外に出せる仕事、無いんでしょう?」と訊くと、「そうなんですよ」との答え。
アダルト系雑誌はどんどん売れなくなって部数が減り、制作費が激減している。原稿等、編集者が出来るものはすべて社内でまかなうようになった。外部に出すお金が無いのだ。いやはや、これはもうリアル『ゲゲゲの女房』状態と申しましょうか、「貸本漫画はいつまで続くのでしょう」と呟き合ってる登場人物と同じである。そう言えば昨日、Tくんと話していた時も、これで首尾良く企画が通り、本になったとしても原稿料が出るのはいつだろうと考えてみたら、早くて半年後である。
つまり、今年いっぱい確実な収入は何も無いということだ。『ゲゲゲの女房』の茂さんは富田書房から3ヶ月の約束手形で仕事を貰ったが、それ以下である。そんなことを「いやー、ホントに大変だよねー、あはは」と電話で言っていたら、彼も「トーラさんは明るいですねー」と少し呆れたように笑っていた。んー、確かに。ただこの商売をやっていて、自慢じゃないが儲かったことはおろか安定したことだって一度も無い。20年間、「サスガにこれはもうダメかな?」と思ったことは何度もあるが、そのたび何とか切り抜けて来た。
幸いこの仕事は元手が要らない。一応パソコンとメールと携帯くらいは必要だけど、ご飯が食べられて身体が動く程度のお金さえあれば、あとは何とかなる。結局のところ、天地がひっくり返ろうと空が落ちて来ようとオレは書き続けるんだという、「しつこい性格」だけが大切ということになる──って、昨日と同じ結論になってしまいました(涙)。