夜明け、4時半から5時くらいに一度眼が覚め、ベッドを出てリビングへ行き、ソファーで1時間から2時間ほど二度寝するという生活が続いている。決して広々とした寝床ではないので熟睡は出来ず、必ず夢を見る。今朝は死んだ親友Kが出て来た。これは昨日の夜、彼の妻Cが電話してきて、引っ越しがもうすぐ完了すると伝えてくれたことによるものと思われる。夢の中で、僕とKはずいぶん若い。20代の半ばくらいか。当時よくそうしたように、我々はしたたか酔っ払い、朝方タクシーで何処かへ向かう。
車の中で眠ってしまった僕は着いたところで起こされる。「此処、何処だ?」と訊くとKは「立川」と、ひと言答える。それで、僕の大学の同級生で、共通の友人Rのところへ来たのだと判る。Rは立川出身だった。しかし本人は不在で、僕らはその部屋でゴロ寝する。二間のアパート。横になっていると、隣りの部屋でカサ、コソ、と音がする。何かがコチラをじっと見つめている気配がする。薄目を開けると、障子の影から一匹の子ネコが用心深そうにこちらを伺っていた。
僕は眠ったふりをして、左手を伸ばし、左右に動かしてみる。すると子ネコは好奇心に負けて、一歩、また一歩と近づいて来る。そこで眼が覚めた。我が家の外では大人のネコが派手に鳴いていた。「フーッ」「ウニャーッ」「フォーッ」、隣の造園屋さんの作業小屋をねぐらにしているミケに、またオスの茶トラが求愛しているのだな、と思う。彼の想いは、今春もまた遂げられないようだ。