7時起床。雲ひとつない快晴。しかし窓には結露が。今シーズン初めて見た。いつものように寝室と仕事部屋の窓をそれぞれ5センチほど開け、空気の入れ換えをしながらストレッチしていると、家の中はどんどん冷えてくる。ロングスパッツとウインド・ブレイカーでjogに出る。雨でも曇天でもなく、晴れの強い陽射しの中、この格好で走るのもまた今シーズン初めて。北風が冷たい。117分。夜になって、トイレとiMacの下に置く小さなオイルヒーターを出した。足元がぬくぬくと暖まる中、原稿を書いた。
まだその季節はやって来ていないけれど、冬というものを確かに感じる。そこには、一人ひっそりと過ごす楽しさがある。高校生の頃の、試験前を思い出す。あの頃は何処の家庭にも暖房エアコンなんてものはなくて、石油ストーブが主流だった。微かに灯油の匂いがして、上にヤカンを置いてチンチンと湧かした。母親に頼んでカップとティーバッグの紅茶、砂糖と輪切りのレモンなんかを用意して貰い、お盆に乗せて部屋に運んだ。そして束の間の休憩に、ヤカンからお湯を注いで紅茶を入れる。それは台所で作ったものとはまったく違った味がした。
そんな時は1曲だけ、1曲だけと自分に言い聞かせて、お気に入りのレコードをターンテーブルに乗せる。ジャクソン・ブラウン、アル・クーパー、ジェイムス・テイラー・・・階下にいる母親に知れると、「もお、勉強してると思ったらまたレコード聴いてるッ」と叱られるから、小さな、とても小さな音で流す。その短くて小さな時間がとても愛おしかった。今こうしてたった一人原稿を書いて過ごすのが好きなのは、あの頃の記憶があるからなのかもしれない。