8時まで爆睡する。やはり疲労はかなり、ある。入念にストレッチしてからジムへ。昨日のjogと同様、こちらも約10日ぶりである。無理せず、いつもよりウエイトをワンランク軽くし、筋肉の様子を窺いつつ身体を動かす。約1時間半。その後、吉祥寺にて打合せ。編集さんが「時々他の著者さんと使う喫茶店があるのですが」と、向かったのはハモニカ横町の裏、行列の出来るコロッケ屋「ミートショップ・サトウ」抜け、アーケードを東に向かった地下。
「Coffee Hall くぐつ草」というお店。
ああ、此処はずいぶん昔に来たことがある。橘弥生にインタビューした場所だ。彼女のことは以前この日記に書いた記憶がある、と調べてみたら2年前の明日、つまり
07年の7月2日だった。何故あの時吉祥寺に来たのだろう。待ち合わせをしたのは新宿の中村屋だった。弥生がカントの岩波文庫版『純粋理性批判』を読んで待っていたのを憶えている。当時僕の相棒だった杉本健一というカメラマンの運転で、青梅街道から井の頭通りを向かった。
井の頭自然文化園の亜熱帯植物ドームと、同じ敷地内にある「長崎平和祈念像」で知られる北村西望のミュージアムで写真を撮った。「くぐつ草」で話を聞いたのはその後だったか、あるいは前だったか。弥生は孤児だった。捨て子だと本人は言っていた。施設で育ち、小学生の時に里子に行ったが里親と上手く行かず、15才の頃から喫茶店でアルバイトしながら自立した。同棲中の彼氏がやっかいな病気を抱えていて、彼女が吉原のソープランドで働きヌードモデルもやって生計を立てていた。今はどうしているだろうか。幸せなおばさんになっていてくれればと思う。
吉祥寺にはあの頃、いや、もっと古く70年代から変わらない場所がぽつりぽつりとだが残っている。「くぐつ草」の他にもジャズ酒場の「ファンキー」、「サムタイム」。高田渡の愛した焼き鳥「いせや総本店」は建て替えられたが、「井の頭公園店」は昔のままだ。
斉藤哲夫の“♪チキチキチー、吉祥寺”という唄が今でも聞こえて来るようだ。