昔の仲間で神戸在住のギター弾きJTが、本業の方で出張してきたので新宿にて会う。東口の居酒屋。「Kの最後のこと、教えて欲しいんや」と言うので説明する。この夏に見つかった転移と再入院。そして治療のすべが無くなり自宅へ戻って療養したこと。篠山の亮介含め、数人の友人達が最後に会えたこと。その後も彼の死がきっかけでヴォーカルのI、山形のキーボード弾きSらと再会出来たことなど。「早過ぎるけど、それでもKはあれだけの作品を残せたわけやから」とJTは言う。「それはすごいことやで」と。
僕は「今思うとあの時良く会えたよな」と言う。あの時とは
05年9月6日のことだ。やはり今日のように彼が出張で上京し、日記には震災のことしか書いてないけれど、あの後、阪本正義が現れ、彼が連絡したのだろう、Kがひょっこりと顔を出した。僕らと比べると格段に忙しい男だったから、その夜突然連絡して来られたことはそれまで一度も無かった。何を話したのかは憶えていない。どうせいつもと同じバカ話だったはずだ。
でも結局のところ、友達というのはそういうものかもしれない。もう二度と会えないかもしれない──そう思ったところで、我々はやはりいつものようにくだらない話をして、「じゃあ、またな」と握手して別れるだろう。