午前中にjog、116分。公園には銀杏の匂いが漂う。木々にはいよいよ紅葉が始まりつつある。今日は日がな一日少し前にも書いたInDesignというソフトを使い、新しく始まる自分の連載ページのデザインをこしょこしょとやる。途中、明日書く予定の原稿に必要なこともあり、フィルム・アート社刊
『官能のプログラム・ピクチャー〜ロマン・ポルノ1971-1982全映画 』をパラパラと読む。これはタイトル通り、日活(1978年からは“にっかつ”に社名変更)ロマン・ポルノの全作品の監督、キャスト他クレジット・データ、あらすじが網羅され、主要作には短い評論、他に白川和子、宮下順子、小沼勝、神代辰巳等、代表的な女優、監督へのインタビューが収録されている。責任編集は山根貞夫。
奥付を見ると1983年初版発行。古い本なので斜め読みしているだけで色々と発見がある。まずは写研・本蘭明朝とかな民友明朝体を組み合わせたとおぼしきアーティスティックな装幀と目次の文字組が眼を惹く。ブック・デザインは菊地信義。データを眺めていると、『ホールインラブ・草むらの欲情 』(79年)、『女高生・夏ひらく唇 』(80年)等の音楽に本多信介の名前がある。ムーンライダーズの前身、はちみつぱいのギタリストだ。他にも『川上宗薫・原作〜白いふくらみ 』『宇能鴻一郎の貝くらべ 』の作品にもクレジットがあるけれど、こうしてタイトルに原作者の名前が入れ込まれているのがあの頃流行ったっけ、なんてことも想い出す。それだけ世の中で官能小説というものが読まれていて、宣伝文句になった時代だったわけだ。
音楽で言えば他に、根岸吉太郎1980年の名作『暴行儀式』には近田春夫&ハルヲフォン、小沼勝『Mr.ジレンマン・色情狂い』はダディ竹千代&東京おとぼけCatsが担当。沢田幸弘『肉の標的・奪う』は竹田和夫率いるクリエイションだ。池田敏春の『スケバンマフィア・肉刑(リンチ)』、那須博之『美少女プロレス・失神10秒前』にはスペクトラムのクレジットがある。スペクトラムと言って今は知らない人も多いかもしれないけれど、新田一郎(tp.)、渡辺直樹(ba.)といったミュージシャンが在籍したブラス・ファンク・バンド。派手なステージアクションとテクニシャン揃いの演奏で人気があった。ホーン・セクションは沢田研二やサザンオールスターズのサポートもやっていた。
音楽と共に『夫婦秘戯くらべ』等、4本に出演に出演しているのが三上寛。まあ、この人は古くは寺山修司の『田園に死す』、大島渚の『戦場のメリークリスマス』にも出演しているから役者ではあるのだが、意外なところでは70年代大阪で活躍したフォーク・ロック・シンガー、
『26号線』という名作アルバムのあるダッチャが本名の安達清康名義で7本も出演している。特に79年、西村昭五郎・監督、主演・日向明子の『禁じられた体験』。僕は当時この映画が本当に好きで、日活系の映画館でバイトしていたこともあって、封切り中5回は観た。ラストシーンにダッチャのレコード化されていない歌が流れ、他にもミスタースリムカンパニーの河西健司、それにやはりフォークシンガーの友川かずきも出ていたような気もするのだが──5回も観たくせにその辺の記憶がどうも怪しいのはさすがに時が経ち過ぎているからか。
デザインの仕事は原稿ほど集中しないで良い代わりに時間がかかる。久しぶりに深夜2時頃まで。さすがに疲れた。