7時起床。朝いちばんでジムへ。1時間半身体を動かした後、いつものように西友の地下で食料品の買い出し。その後、三軒ほど並びにある東急ストアにも寄る。此処には西友には売ってないMOWの期間限定エスプレッソ味と、Grico牧場しぼりアイスが売っているからなのですね。各3コずつ買い求めレジをすませ袋に詰めていると、店内BGMに「小さい秋みつけた」が流れているのに気づく。スーパーというのは季節色を醸し出したいせいか、四季折々の唄を流す。お正月には琴の音であったり、雛祭りには「♪灯りをつけましょ〜」とか。しかし、ですね。この「小さい秋みつけた」には毎年余計なことをしてくれる、と思う。エート、あの、この曲寂しすぎないですか。そんでもってちょっとコワイ。
大抵はすご〜く、ヴォリュームを抑え思い入れたっぷりな女声コーラスで「♪ちいさいあ〜き、ちいさいあ〜き」と始まり、その後ダークダックス風に重厚な男声コーラスが「♪ちいさいあ〜き! ちいさいあ〜き!!」とものすごい音圧で畳み掛けてくる。ココがまずちょっと恐い。シューベルトにゲーテの詩に曲をつけた「魔王」という曲があるが、病気の子供を背負い嵐の森の中馬で疾走していると、坊やをさらいに突然魔王が登場する──あの雰囲気に似てる(似てないか?)。でもってその次の歌詞だ、「目隠し鬼さん、手の鳴る方へ」と来た。これも何ンか意味が良く判らなくて恐い。だいいち小さな秋と関係な〜いっ!(←お笑い芸人KICK☆風に)。
どうもこの曲を聴くと気分が暗くなる。70年代には、一晩で中島みゆきと山崎ハコをLP一枚ずつ聴いた者は自殺するという都市伝説がまことしやかに囁かれたが、「小さい秋みつけた」にも同様の破壊力がある。どうせなら「小さなネコ」にでもしといてくれないか。「♪ちいさいネ〜コ、ちいさいネ〜コ、ちいさいネ〜コ、みぃつけた」なら、例えば買い物帰り路地、何処からか「ミーミー」と鳴く声が聞こえて来る。「アレレ、何処だろう」と探し足元を覗いて見ると、軒下から母猫に見守られた子猫が数匹ヨタヨタと出てきたというような、そんな微笑ましい風景が眼に浮かぶじゃありませんか。
しかしまあ、この日記を書くにあたりネットで「小さい秋みつけた」の歌詞を探してみると、これはやはり味わい深いものがあります。特に二番サビ、「お部屋は北向き曇りのガラス、虚ろな眼の色、溶かしたミルク」なんてフレーズには尋常ならざる才気を感じる。さすがはサトウハチロー先生、凡人には絶対に書けない歌詞である。ちなみに作曲も大御所・中田喜直。元々は昭和30年、NHKの特別番組『秋の祭典』のために作られ、その時点ではたいした話題にもならなかったが、7年後にコーラス・グループ、ポニージャックスによってレコーディングされ大ヒット。その年のレコード大賞童謡賞を受賞したそうです。