5時起床。寝酒を飲んで床に就く習慣がついてしまっているので、シラフだとなかなか寝付けない。でも、その寝付けない快感ってありませんか? なんて言えるのも僕がヒマな男だからだろうが。うつらうつらして、カクンと眠りに落ちたかと思うと、片足をスコンと落とし穴にはめたような一瞬の夢を見て──あれはたぶん無意識に曲げていた足を伸ばしてしまうんだろうな──ハッとして目覚めたりして。部屋の中は当然真っ暗で、何処か不安で、子供の頃に戻ったようで、そんな感覚が楽しい。昨夜は深夜1時頃にフトンに入り、そんなふうに眠りに落ちたり目覚めたり、トイレに行ったり台所で水を飲んだりしているうち、3時頃には眠りに落ちたようだ。
6時過ぎ、jogに出る。外は曇り。花曇りという言葉があるように、まさに桜を眺めながら走るにはうってつけの天気。ただ、想像はしていたけれどやはり昨日は日曜日。ゴミがひどい。酒瓶、ビール缶、コンビニの袋、のり巻きなんかを入れたあるブラパックなどが散乱している。まるで大学生の頃、深夜に飲み屋を出て、じゃあ誰かのアパートでもうちょっと飲もうぜなどと言って向かい、全員が意識をなくして眠り迎えた朝のような。公園全体がそんな学生アパートの二日酔の朝のような状況になっている。歓んでいるのはカラス。ギーギー嬉しそうに鳴きながら残飯をついばんでいる。
そして毎年書いているけれど、広げっぱなしで帰ってしまったのか早くも今日の場所取りなのか、あのすべてを台無しにする興醒めなブルーシート。僕は花見というものを生まれてこの方一度もしたことがない。つまり、桜を見ながら酒を飲むという行為ですね。そして、今後も一生しないだろう。だから別に花見を楽しむ人に注文をつける筋合いは何もないのだが、あのブルーシートだけは何とかならないか? 桜というのは、この時期特有のぼんやりとした花曇り、微かに芽ばえ始めた新緑、それに加え、これもこの季節、桜の根元だけ特有の、あのココアパウダーのように肥沃な茶色い土とのコントラストがあって初めて美しいものだ。せめて筵(むしろ)や茣蓙(ござ)を敷くという習慣が定着しないだろうか。てゆーか、あんなひとたび敷いてしまったが最後、その場が工事現場みたいになってしまうビニールの上で酒を飲んでも、少しも美味くないと思うのだが。
そしてすごいなあと思うのは、公園職員でもボランティアでもなく、毎朝早くに散歩を習慣としている人だろう。そういう人の何人かがビニール袋を手に、自主的に大きなゴミを拾いながら歩いているということだ。あの人達はきっと公衆道徳とかそういうこととは関係無く、自分が毎朝歩いている公園を、ただ自分が気持ち良く散歩したいがためだけにゴミを拾いながら歩いているのだろう。そういう光景を見ると、この国もけっこう大丈夫かもしれないと思う。花見客の残したゴミ自体も、去年よりは少なくなっているような気がする。