色んな意味で疲れてきた。8年振りにひいた風邪に体力を芯から根こそぎ奪い取られた。特に朝と夜、喉が痛くてたまらない。仕事もいよいよ今月最後のヤマ。みャ太が以前のようにお刺身を食べられなくなってきたようだ。だから何度にも分けて少しずつやる。それでもとにかく一日中寝ているのでタイミングを計るのがむずかしい。熟睡してる時に無理やり起こして口に入れても噛んで飲み込んではくれない。だからトイレに行った時とか、ふと寝返りを打つために起き出した所を見計らってお刺身をやり、流動食を飲ませ、水を飲ませる。
風邪を引いて以来、スーパーに行くのがしんどくなった。なので我が家からいちばん近いO商店という個人営業のお店に行く。基本的には野菜がとても安い八百屋さんなのだが、お肉から牛乳からお総菜、はたまたトイレットペーパーから蚊取り線香まで売ってるようなよろず屋さん風の店だ。この街に住むようになった時、近所にこの店を見つけて嬉しかった。以前住んでいたアパートからはチャリンコで5分。今はそこから約1キロほど離れたところに移ったのだが、それでも食料品を売る店の中ではいちばん近い。
前のアパートに住んでいる時には本当に良く来た。あの頃はみャ太もぎじゅ太もまだ小さかったんだよな、などと思い出す。何だか最近は昔のことばかり思い出している。個人商店だから親父さんも奥さんも、若い──と言っても僕より少し年下くらいか──従業員のお兄さんも変わらない。そう思うと淋しい。ここだけは時間が止まっているようだ。二匹のネコだけが、早送りのフィルムのように歳をとっていく。
仕事はヤマと言っても今月は本当に少ない。風邪をイイワケに数少ない仕事をだらだらとこなしている。気分が暗いと文章を書いていても少しも楽しくない。ただ、今日はHMJMから12月2日にリリースされるDVD、
『豊田道倫・映像集2』のレビューを書いた。唯一無比の個性を持つミュージシャン、
豊田道倫のライヴ映像をカンパニー松尾がまるでライフワークのように撮り続けている、その作品集。さらに松尾に加え、松尾アキヒト、堀内ヒロシ、松江哲明という若く才能溢れる映像作家が撮り下ろしたプロモーション・クリップが5曲。
良い音楽、良い映像はただそれだけで良い文章を書かせてくれる。豊田さんとHMJMの素晴らしい才能達に感謝したい。