映画館に入るときと出たときで、その人の人生が変わってしまう映画がある。NHK朝ドラ『ひよっこ』では、ヒロイン・みね子(有村架純)と「乙女寮」同室の仲良し6人組は、寮長・幸子さん(小島藤子)の彼氏・雄大(井之脇海)と一緒に海水浴を計画する。ところが当日はあいにくのどしゃぶりで、時子(佐久間由衣)の提案で『ウエスト・サイド物語』を観に行くという展開になった。今週火曜日、5月23日放映分。
調べてみると『ウエスト・サイド物語』は1961年12月に封切られ、丸の内ピカデリーでは翌1963年5月までなんと511日にわたるロングラン上映となったそうだ。『ひよっこ』は1964年の設定だから、「リバイバル上映された」ということになっている。みね子や時子が指を鳴らすジェット団とシャーク団の踊りを真似るのや、真面目な豊子(藤野涼子)がマリア(ナタリー・ウッド)の階段のシーンを演じるのは、きっと世界中で誰もがやっただろう。
僕が『ウエスト・サイド物語』を観たのは確か小学校6年か中1のとき。銀座みゆき座でのリバイバル上映だったと思う。4つ年上の兄貴が観たいと言い出し、1961年公開時に観ていたオフクロが「いい映画だから」と何もわかっていない僕も連れて行った。マンハッタンの空撮で始まるオープニングからショックを受けた。それまで観ていた東宝の怪獣映画や加山雄三の若大将シリーズとは、まったく違う世界がそこにはあった。
※『ウエスト・サイド物語』の名シーンは、YouTubeには他にも数多くアップされている。これはアメリカ版の予告編ではないか。