映画に関する原稿を書くうえで確認しなければならない事柄があって、キャメロン・クロウがビリー・ワイルダーにインタビューを試みた労作
『ワイルダーならどうする?』(キネマ旬報社)を図書館で借りてきた。ちなみにキャメロン・クロウはトム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』などで知られる映画監督だが、元々は16才で『ローリング・ストーン』誌の記者になり、イーグルスを始めとする当時のロックスターたちに取材した人物(その関係で『ザ・エージェント』にはイーグルスのグレン・フライが役者として出演している)。つまり優秀なジャーナリストでもある。
A4判(いわゆる写真集サイズ)の大判で全450ページ、定価5,076円の大著を無料で読めるなんて、図書館ってなんて素敵な公共施設なんだろうと思うものの、これが仕事に追われ読む時間がないのだよ(人物・作品名の索引付きなので確認事項については簡単に解決してしまったが)。明後日には返却しなければならないのだよ(涙)。なぜ涙せにゃならんのかというと、仕方なくトイレに設置した本棚に置いて、用を足すたびにパラパラやっているのだが、とにかくどのページを開いても面白い、面白すぎる。面白くないところがない。
たとえば今、アットランダムにエイヤと開いた109ページでは、『7年目の浮気』(1955年)のときは腹の虫がおさまらなかったな、とワイルダーは語っている。ニューヨークでスクリーンテストをした。主演はすでにマリリン・モンローで決定してたから、別の女優を使った。ジーナ・ローランズだった。それは決定事項だからまあいい。問題は相手役の男優だ。彼は唖然とするほど上手かった! これはすごい作品になるぞとすっかり興奮したワイルダーだが、ハリウッドに帰ると会社はこう言った。
「安全策を取ろう。相手役は舞台と同じトム・イーウェルにやらせる」と。このときワイルダーは20世紀フォックスに出向の身だったから、泣く泣く会社に押し切られた。なぜなら「スクリーンテストした俳優はウォルター・マッソーだったんだぞ!」と。うーむ、こういう本は休みを取って、のんびりと一日かけて没頭したいものです。ではまた明日。
※ビリー・ワイルダーとくれば、やはり装画は和田誠さんだなあ(^O^)/。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVED