8時よりjogに出る。このところ取材が立て込んでいたこともあり、8日ぶり。今日は立春。気温は5℃と決して高くはないが、陽射しがあって暖かい。公園に入ると、白梅がほぼ満開になっていた。ここでは年が明けるとすぐに黄色いロウバイが咲き始め、成人式を過ぎたあたりで白梅が咲く。そして今頃、2月に入ると紅い梅が咲き始めて、それらが満開となって散っていこうとする頃、桜が開花する。こうやって偉そうに書いているけれど、花鳥風月に疎い僕は、30才を過ぎて日常的に走るようになるまで、これらの花がいつ咲くかをまったく知らなかった。
それでも、桜の季節は知っていても、たとえば梅が1月の半ばに咲き始めるのは、意外に知らない人も多いのではないだろうか。もう10年以上前になるけれど、同じようなことをこの日記に書いたら、「もう梅が咲いているのですね」とメールをくれた人がいた。「私は梅も桜も好きですが、桃の花がいちばん好きです」と書いていた。当時知り合ったばかりの、同業の人だった。僕は桃の花というのを知らなかったが、しばらくすると公園の一角に小さな樹が植樹され、桜が満開になった頃に花をつけた。とてもきれいだった。「ハナモモ」と名札が付けられていた。
調べてみると、「ハナモモ」とは果樹としてではなく、花を観賞するために改良された桃の木だという。公園のハナモモは、最初は手が届くほどの、庭箒を逆さにしたような低木だったが、数年すると大きく枝を伸ばす立派な樹になった。「桃の花が好き」と書いていた人も、メールをくれた10年数前はまだ駆け出しで無名のフリーライターだったが、やがてたくさんの人からの賞賛を得る書き手になっていた。でも去年の秋、突然亡くなってしまった。これからは毎年、あのハナモモの樹に花が咲くたびに、彼女のことを想い出すだろう。
※写真は1月24日の白梅。まだ8分咲きといったところ。data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVID